【2026年最新】勤怠管理・打刻・集計の手間をAIで減らす方法|「打つ・直す・締める・渡す」に分け、勤怠システムで済む所と自動化する所を見分ける手順

この記事は、紙のタイムカードやExcelで勤怠を管理している、または勤怠システムを入れたのに月末の締めが楽にならない中小企業の社長・総務・労務担当の方の、「打刻漏れの確認と催促に毎月追われ、締めの数日間は他の仕事が止まる」という困りごとを解決するために、私がこれまで400社・4,000人の研修で見てきたことをまとめたものです。

結論:勤怠の手間は「打つ(打刻する)・直す(漏れと修正)・締める(集計する)・渡す(給与や請求へ回す)」の4つに分けると、打つ・直すの大半は勤怠システム(クラウドの打刻の仕組み)を入れるだけで減り、AIはほとんど要りません。勤怠システムで減らない「打刻漏れの本人への個別の催促」「現場別・独自手当の集計」「給与ソフトや請求書へ渡す形への変換」「残業の上限の見張り」を、ワークフロー自動化か自社用の小さなツールで仕組みにします。AIを使うのは、手書きの出勤簿を読み取る、修正理由の文章を読み分けるといった「読む・判断する」場面だけで、残業代などの計算そのものはAIにさせません。

📌ほかの困りごとも含めた全体像は「AIで業務の困りごとを解決する方法|受講企業に多い10の困りごと別ガイド」で、困りごとに共通する5つのルールと早見表をまとめています。


「勤怠の手間」は受講企業の困りごとで13番目に多い

ホリエモンAI学校では、受講企業の社員の方に「困りごとリスト」を書いてもらっています。集まった1,705件を似たもの同士でまとめると、「勤怠管理・打刻・集計に手間がかかる」は27件で、98種類の困りごとの中で13番目に多いものでした。

27件を一つずつ読み、私たちが「勤怠のどこで困っているのか」で分けると、次の5つになります。

困っているところ件数実際に書かれていた声(例)
① 記録が紙・手書き・Excelのまま(打つ)8件タイムカードのExcel入力に手間がかかる/勤務表が手書き/手書き出勤簿の計算を自動化したい/勤務管理が紙とExcelで煩雑/勤怠管理をクラウド化したい
② 打刻漏れ・修正・提出の催促(直す)5件打刻忘れがある/打刻修正に手間がかかる/勤怠の集まりが悪く周知に手間がかかる/社員の勤怠・タイムシート確認を簡単にしたい
③ 月末の集計・計算・整形(締める)8件勤怠PDFの集計を自動化したい/タイムカード計算が手間/勤怠データの整形に時間がかかる/現場ごとの人工数管理を自動化したい/勤怠管理が大変
④ 残業・稼働時間の見張りと申請2件稼働時間の上限アラートがほしい/長時間労働・長距離移動の申請を自動化したい
⑤ 勤怠まわりの人事書類・設定4件勤怠システムの設定変更を自動化したい/人事評価資料の作成に時間がかかる/労働協約の更新を自動化したい

出典:ホリエモンAI学校の受講企業が記入した困りごとリスト(1,705件を98種類にまとめた社内集計、2026年10月時点)。分け方は筆者によるもので、「勤怠管理が大変」のように範囲が広い声は③に含めています。

目立つのは、①の「そもそも記録が紙やExcel」という声が8件あることです。この状態のまま、集計だけをAIで楽にしようとしても、手書きの読み取りと確認の手間が残ります。どこから手を付けるかは、次の分解で決めます。


四角と矢印に分解すると、勤怠は「打つ・直す・締める・渡す」の4マス

私たちは研修で、困りごとをまず業務の流れ(四角と矢印)に書き出してもらいます。紙のタイムカードで打刻し、月末に総務がExcelで集計している会社なら、おおよそ次のようになります。

#今の作業よくある問題仕組みにした後
1 打つ出勤・退勤時にタイムカードを押す。直行直帰や現場の人は紙に手書き押し忘れ。現場の手書きは月末にまとめて届くスマホやPCで打刻し、その場でデータになる
2 直す総務がカードを1枚ずつ見て、空欄の人に声をかけ、理由を聞いて手で書き足す総務が全員を見張る形になり、締め前に催促が集中する毎朝、前日の打刻漏れを見つけ、本人に「修正してください」と自動で知らせる。修正は本人が行い、上司が承認する
3 締めるカードの時刻をExcelに打ち直し、残業・深夜・休日を計算する打ち間違い、計算式の壊れ、担当者しか分からないExcel勤怠システムが計算する。システムで出せない現場別・独自手当の集計だけを自動の集計表にする
4 渡す集計結果を給与ソフトに入力する。派遣や常駐の会社は請求書の作成にも使う同じ数字を別のソフトに打ち直す。転記ミス給与ソフトが読み込める形のファイルを自動で作る。前月との差が大きい人だけ人が確かめる

書き出してみると、3の計算よりも、2の「漏れを見つけて本人に聞きに行く」マスに時間を取られていることがよくあります。後で紹介する公開事例にも、打刻漏れの確認だけに毎月6日間ほどかけていた担当者の例があります。総務が全員の打刻を見張り、総務が直す形になっていることが、締めの数日間を生んでいます。直すのを本人の仕事に戻すだけで、総務の手間は大きく変わります。


最初に確かめること:勤怠システムを入れるだけで済むかどうか

紙やExcelで勤怠を管理しているなら、AIより先に、勤怠システム(クラウドの打刻と集計の仕組み)を入れることを検討してください。1の打刻、2の修正の受け付けと承認、3の残業・深夜・休日の計算、有給の残日数の管理は、多くの勤怠システムの標準機能に入っています。ここに自前の自動化やAIを作るのは遠回りです。

厚生労働省のガイドラインでも、始業・終業時刻は、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基に確認し、記録することが原則とされています(出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)。手書きの自己申告を、あとからAIで整えるより、最初からデータで記録するほうが、手間の面でも労務管理の面でも筋がよいのです。

一方で、勤怠システムを入れても次の手間は残りやすく、上の困りごとリストにも「勤怠PDFの集計」「勤怠データの整形」「勤怠システムの設定変更」のように、システムを使ったうえで残っている声が含まれています。

  • 打刻漏れの本人への催促:システムは漏れを一覧にしてくれても、本人に届くまで総務が連絡している
  • 会社独自の集計:現場ごと・案件ごとの人工数、独自の手当、部署別の残業ランキングなど、標準の帳票にないもの
  • ほかのソフトへ渡す変換:給与ソフト・会計ソフト・請求書の形式が合わず、結局Excelで並べ替えている
  • 残業の見張り:時間外労働には原則として月45時間・年360時間の上限があります(出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制」)が、月末に締めてから超えそうな人に気づいている

自動化を考えるのは、この「システムを入れても残る部分」です。


残った手間を、3つの方法のどれで解くか

私たちは、業務の自動化の方法を「ワークフロー自動化ツール」「AIエージェントに任せる」「コーディングエージェント(Claude Codeなど)で自社用のツールを作る」の3つに分けて考えます。選ぶ目安は、その作業の頻度と、人の判断が要るかどうかと、会社が使っている道具の派閥(Microsoft・Google・ChatGPT・Claude)です。勤怠は毎日・毎月くり返し、計算に判断は要らないので、ほとんどがワークフロー自動化か自社用ツールになります。

残った手間頻度・判断向いている方法具体的な形
打刻漏れの催促毎日/判断は要らないワークフロー自動化毎朝、勤怠データから前日の漏れを探し、本人に社内チャットで修正を依頼。3日直らなければ上司にも知らせる
残業の上限の見張り毎日〜毎週/判断は要らないワークフロー自動化月の途中で、残業が一定の時間を超えた人と上司に知らせる。何時間で知らせるかは社労士と決める
現場別・独自手当の集計、給与ソフト用への変換毎月/ルールは決まっているが会社独自ワークフロー自動化、複雑なら自社用ツール勤怠データを読み込み、決めたルールで集計し、給与ソフトが読める形で出力。前月との差が大きい人に印を付ける
手書きの出勤簿・紙のタイムカードの読み取り毎月/読み取りに判断が要るAIで読み取り+人が確認写真やスキャンをAIで読み取り、読めなかった欄だけ人が確かめる。並行して打刻のデータ化を進める
修正理由・申請文の確認都度/中身の判断が要るAIで下書き・仕分け、決めるのは人「電車遅延」「客先直行」などの理由を読み分けて承認者に回す。承認するかどうかは人が決める

道具は、会社がすでに使っているものに合わせます。Microsoft 365中心ならExcelとPower Automate、Google Workspace中心ならスプレッドシートとGoogle Apps Script、freee人事労務やSmartHRなどのサービスを使っているなら、まずそのサービスの標準機能と連携機能で足りるかを確かめます。私たちが研修で示している型の一つは、Claude Codeで、月末に勤怠サービスから打刻データを取り込み、残業・遅刻・休暇を集計し、打刻漏れや異常があれば本人にチャットで確認を頼む小さなツールを作る、というものです。

📌月末の集計表づくり全般の分解のしかたは「データ集計・実績表づくりをAIで自動化する方法」で詳しく解説しています。


勤怠の自動化で守る4つのルール

  1. 残業代などの計算はAIにさせない:割増・深夜・休憩・端数処理は、勤怠システムか、決めたルールどおりに動く仕組みで計算します。AIの役目は、読み取り、文面づくり、おかしな数字の候補を挙げるところまでです。チャットに勤怠表を貼って「残業を計算して」と頼むやり方は、毎月の業務には使いません。
  2. 直すのは本人、総務は見張らない:打刻漏れの修正を総務が代わりに書き足す流れを続けると、自動化しても総務の手間が残ります。本人が修正し、上司が承認する流れに変えます。
  3. 元の記録は消さない・上書きしない:出勤簿やタイムカードなどの労働時間の記録は、労働基準法第109条で保存が義務づけられています(前出の厚生労働省ガイドライン)。集計や変換は元データのコピーで行い、元の記録は残します。
  4. 作る前に、締め日と計算のルールを1枚に書く:締め日、休憩の扱い、端数の丸め方、独自手当の条件を、社労士や給与担当と確かめて1枚にまとめます。ルールが書けない部分は、自動化する前に決めるべき部分です。

勤怠の手間を減らした公開事例

ここで紹介するのは、他社が公開している事例です。ホリエモンAI学校の受講企業の成果ではありません。

  • 株式会社ニシムタ(公開事例・打刻と修正を本人の手に):鹿児島県を中心にスーパーセンター28店舗を展開し、従業員3,500名(2024年1月時点)。ICカードの打刻と紙の有給申請を10年以上続け、担当者は打刻漏れの確認に毎月6日間ほどかけていた。クラウドの勤怠システムを入れ、スマホでの打刻と、従業員自身による打刻の修正に切り替えたことで、3〜4名の担当者がそれぞれ6日間かけていた月末の締め作業が約3日間になったと紹介されています(出典:HRMOS勤怠 導入事例「株式会社ニシムタ」、ベンダー掲載の導入事例)。生成AIは使っていません。
  • 愛知県(公開事例・勤務実績の転記):総務事務システムから出力した勤務実績データを、時間外勤務の実績表へ手で転記する作業(月60分)について、AI-OCRで読み取りRPAで入力する実証実験を行い、手作業の時間が月3分になったと報じられています(出典:IT Leaders「愛知県がRPAとAI-OCRを実証実験、職員のデータ入力作業を最大95%削減」、2019年4月23日)。

1つ目の例で締めが短くなった一番の理由は、AIではなく「修正を本人がするようになった」ことです。上の4つのルールの2をそのまま実行した例で、勤怠の手間の多くが仕組みと流れの問題であることがよく分かります。

📌紙の出勤簿やタイムカードのように「なくせない紙」がある場合の進め方は「手書き・紙の書類のデータ入力をAIで減らす方法」で解説しています。

📌打刻漏れや残業の上限を知らせる通知の組み方は「期限・フォーム回答・メールの自動通知を仕組みにする方法」が参考になります。派遣会社で勤怠から給与と請求を作る照合については「人材派遣会社のAI活用」をご覧ください。


最初の1週間でやること

  1. 1日目:先月の締めで、誰が・何に・何時間使ったかを書き出します。打刻漏れの確認、催促、Excelへの打ち直し、計算、給与ソフトへの入力に分けて、ざっくりの時間を付けます。
  2. 2日目:今の流れを「打つ・直す・締める・渡す」の4マスで書き、一番時間を取っているマスに印を付けます。
  3. 3日目:紙やExcelで打刻しているなら、勤怠システムの無料の試用やデモを申し込み、自社の打刻・修正・計算が標準機能でどこまでできるかを確かめます。すでに入っているなら、使っていない機能(本人による修正、漏れの通知、給与ソフトへの出力)がないかを確かめます。
  4. 4日目:締め日・休憩・端数・独自手当のルールを1枚に書き、社労士や給与担当に確かめてもらいます。
  5. 5日目以降:システムで残った手間を1つだけ選び、まず「毎朝の打刻漏れを本人に知らせる」のような小さな自動化から組みます。1か月の締めを通して効果を確かめてから、集計や変換に広げます。

勤怠管理・打刻・集計の手間についてよくある質問

勤怠管理にAIは必要ですか?

多くの場合、中心になるのはAIではなく勤怠システムとワークフロー自動化です。打刻、修正の承認、残業の計算、漏れの通知は、判断の要らない作業なので、システムの標準機能や自動化ツールで足ります。AIが役に立つのは、手書きの出勤簿の読み取りや、修正理由の読み分けなど、読む・判断する部分です。

紙のタイムカードのままでも自動化できますか?

AIで読み取ってデータにすることはできますが、読み取りの確認という新しい手間が残ります。紙をやめられない事情がない限り、打刻そのものをスマホやPCに切り替えるほうが、手間は大きく減ります。現場の事情で紙が残る場合だけ、読み取りの仕組みを組み合わせます。

勤怠システムを入れたのに、月末の締めが楽にならないのはなぜですか?

よくある原因は、打刻漏れの修正を総務が代わりに行っている、会社独自の集計をExcelで作り直している、給与ソフトへ手で打ち直している、の3つです。本人が修正する流れに変え、残った集計と変換だけを自動にすると、締めの作業は短くなります。


まとめ:勤怠の手間は「直すのは本人」に戻し、システムで残る所だけを自動にする

勤怠の手間は、打つ・直す・締める・渡すの4マスに分けると、どこで時間を使っているかが見えます。紙やExcelなら、まず勤怠システムで打刻と計算をデータにし、打刻漏れは本人が直す流れに変えます。そのうえで、本人への催促、独自の集計、給与ソフトへの変換、残業の見張りのように、システムで残る部分だけをワークフロー自動化や自社用ツールで仕組みにします。計算はAIにさせず、AIは読む・判断する所にだけ使います。

「締めの数日間は総務が勤怠にかかりきりになる」「勤怠システムを入れたのに、結局Excelで集計し直している」という状況なら、今の流れを一緒に四角と矢印に書き出し、システムの設定で済む所と自動化する所を分けるところから進められます。今の勤怠システムの機能を使えば足りる場合は、その旨を正直にお伝えします。

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