この記事は、専任のSNS担当者がいないまま、社長や営業・事務の社員が本業の合間にInstagramやXを更新している中小企業の、「ネタ探しと投稿づくりに毎週時間を取られ、結局続かない」という困りごとを解決するために、私がこれまで400社・4,000人の研修で見てきたことをまとめたものです。
結論:SNS運用で時間を取られているのは、文章を書く作業そのものより、「毎回ゼロからネタを考える」「確認待ちで止まる」「複数のSNSに1つずつ貼り付けて予約する」の部分です。社内にすでにある出来事をネタ台帳に集め、AIに過去の投稿を見本にして下書きを作らせ、承認したものは予約投稿まで自動で登録する流れにすると、人がやるのは「選ぶ・直す・承認する」の3つだけになります。新しいSNS管理ツールを探すのは、この流れを書き出してからで十分です。
📌ほかの困りごとも含めた全体像は「AIで業務の困りごとを解決する方法|受講企業に多い10の困りごと別ガイド」で、10の困りごとに共通する5つのルールと早見表をまとめています。
「SNS投稿の作成・運用」は受講企業の困りごとで9番目に多い
ホリエモンAI学校では、受講企業の社員の方に「困りごとリスト」を書いてもらっています。集まった1,705件を似たもの同士でまとめると、「SNS投稿の作成・運用に時間がかかる」は29件で、98種類の困りごとの中で9番目に多いものでした。
29件を一つずつ読んで、私たちが中身で分けると次のようになります。
| 困りごとの中身 | 件数 | 実際に書かれていた声(例) |
|---|---|---|
| 投稿文を書くのに時間がかかる | 6件 | SNS投稿文の作成に時間がかかる/SNS投稿文を自動作成したい/SNS運用に手間がかかる |
| 投稿・予約・貼り付けの作業が手間 | 6件 | SNSの文章を自動投稿したい/投稿シートへの貼り付けを自動化したい/SNS投稿を一度の作業で効率化したい/YouTubeショートの予約投稿を自動化したい |
| 採用・営業のための発信が回らない | 4件 | 募集のSNS発信に時間がかかる/採用広報の投稿に手間がかかる/SNSでの営業発信を効率化したい |
| 画像・動画まで含めて作るのが大変 | 3件 | SNS投稿の画像と文章を自動作成したい/SNSの動画を自動生成・投稿したい |
| ホームページ・ブログの更新も追いつかない | 3件 | ホームページの定期発信を楽にしたい/SNSやHPの内容更新が大変 |
| 配信先・インフルエンサー選びが手間 | 3件 | 訴求に合うインフルエンサーを選定したい/SNSメッセージを自動配信したい |
| ネタが足りない | 2件 | SNSのネタが枯渇している/SNS投稿のネタと人手が足りない |
| 続けても成果が出ない | 2件 | SNSのフォロワーが伸びない/SNS活用が進まない |
出典:ホリエモンAI学校の受講企業が記入した困りごとリスト(1,705件を98種類にまとめた社内集計、2026年10月時点)。分け方は筆者によるものです。
目立つのは、「文章を書く」と同じくらい「貼り付けて予約する」作業に困っている会社が多いことです。AIで文章を速く書けるようになっても、InstagramとXとFacebookに1つずつ貼り付け、画像を付け、時間を指定する作業が残っていれば、担当者の負担はあまり減りません。
SNS運用を四角と矢印に分解すると、6つの段階がある
私たちは、困りごとをいきなりAIで解こうとせず、まず業務を四角と矢印の流れに書き出してもらいます。病院で患者さんが「ここが痛い」と伝えてから治療が始まるのと同じで、どこが痛いのかが分からないまま道具を選んでも、解決しません。SNS運用なら、おおよそ次の流れになります。
| # | 段階 | よくある状態 | 向いている解決策 |
|---|---|---|---|
| 1 | ネタを決める | 投稿する日になってから「何を出そう」と考え始める | 運用の決めごと(社内の出来事をネタ台帳に集める)+AI(台帳から候補を出す) |
| 2 | 下書きを書く | 1本ずつ一から書く。書く人によって文体がばらばら | AI(過去の投稿を見本に、SNSごとの下書きを作る) |
| 3 | 画像を付ける | 毎回デザインツールを開いて一から作る | 型(テンプレート)を決めて、文言だけを差し替える |
| 4 | 確認する | 社長や上司の確認待ちで数日止まる | 運用の決めごと(確認する範囲を決める)+ワークフロー自動化(確認依頼を自動で回す) |
| 5 | 投稿・予約する | SNSごとに1つずつ貼り付け、時間を指定する | ワークフロー自動化(承認したら予約投稿に自動で登録) |
| 6 | 反応を見る | 見ない、または手で数字を写している | ワークフロー自動化(数字を表に集める)+AI(反応の良い投稿の共通点を探す) |
書き出すと、多くの会社では、2の「書く」だけをAIでやろうとしています。しかし実際に時間を取っているのは、1の「ネタ探し」、4の「確認待ち」、5の「貼り付けと予約」であることが少なくありません。ここを放っておくと、AIを入れても「続かない」は変わりません。
ネタ探しをやめる:社内にもうある出来事を「ネタ台帳」に集める
ネタが枯れるのは、投稿する日になってから考えるからです。中小企業の場合、SNSのネタはわざわざ探さなくても、毎日の仕事の中にあります。
- お客様からよく聞かれる質問:営業や電話で何度も答えていること
- 仕事の様子:施工・納品・製造の写真、ビフォーアフター(お客様の了承を取ったもの)
- 社内の出来事:新しく入った社員、勉強会、季節の行事
- すでに書いた文章:ホームページのお知らせ、ブログ、プレスリリース、求人票
これらを、社員が気づいたときに1行で書き込めるスプレッドシート(ネタ台帳)に集めます。項目は「日付」「出来事(1〜2行)」「写真の場所」「誰に見てほしいか(お客様・求職者など)」くらいで十分です。写真はスマホから共有フォルダに入れてもらうだけにします。
1つの出来事からは、複数の投稿が作れます。たとえばブログ記事1本からは、Instagram用の画像付き投稿、X用の短い投稿、求職者向けの「この会社で働くとこんな仕事をする」という投稿が作れます。「ネタが足りない」は、1つのネタを1回しか使っていないことが原因の場合が多いのです。
下書きはAIに任せる:過去の投稿を見本に、SNSごとの案を作らせる
ネタ台帳ができたら、下書きはAIに作らせます。ただ「Instagramの投稿を書いて」と頼むと、どの会社でも同じような、宣伝くさい文章が返ってきます。自社らしい文章にするには、次の3つを毎回渡します。
- 見本:過去の投稿のうち、反応が良かったもの3本ほど。文体と長さをそろえるためです。
- 元ネタ:ネタ台帳の1行と、必要ならブログやお知らせの本文。
- 決まりごと:「Instagram用とX用に1案ずつ」「Xは140字以内」「数字・お客様の声・効果は、元ネタに書いてあるもの以外は書かない」「大げさな言葉は使わない」など。
3つ目の決まりごとは特に大事です。AIは、それらしく見せるために「満足度98%」「作業時間が半分に」のような、どこにも根拠のない数字を書いてしまうことがあります。私たちも自社のコラムのサムネイル画像をAIで作っていますが、根拠のない成果の数字が入っていたら作り直す、というルールにしています。人が確認するときは、文章のうまさより先に「事実と違うことが書かれていないか」を見てください。
また、すべてをAIに書かせる必要はありません。告知や記事紹介のような定型の投稿はAIに任せ、社長の考えや、思いを込めたい投稿は自分で書く、という分け方も現実的です。
📌詳しくは「AIへの指示の出し方が分からない社員をなくす方法」へ
確認と貼り付けを自動にする:承認したら予約投稿まで自動で登録する
下書きができても、「社長の確認待ちで止まる」「SNSごとに貼り付ける」が残っていると、結局続きません。ここは判断の要らない作業なので、ワークフロー自動化ツールで次の流れを作ります。
- AIが作った下書きと画像を、ネタ台帳の同じ行に書き込む。
- 確認する人に「今週の投稿案が5本あります」とチャットで自動的に知らせる。
- 確認する人は、台帳の「承認」欄にチェックを入れるか、直したい点を書くだけにする。
- 承認された行は、決めておいた曜日・時間で、予約投稿の仕組み(各SNSの予約投稿機能や、複数のSNSにまとめて予約できるサービス)に自動で登録する。
- 投稿されたら、社内のチャットに「投稿しました」とURLを流す。
私たちも、自社のコラムで同じ考え方の流れを動かしています。コラムを公開すると、その記事を紹介するX投稿の文章をAIが作り、公開の30分後に公式アカウントから出るよう予約投稿のサービスに自動で登録し、同時に社内のSlackへ「公開しました」と通知が届きます。文章には「1本の投稿で紹介する記事は1本だけ」「煽らない」「決まった文字数に収める」という決まりを渡しています。人が貼り付ける作業はありません。
確認する範囲も決めておきます。たとえば「新しい商品・価格・お客様が写っている投稿は社長が確認する」「季節のあいさつや記事紹介は担当者の判断で出してよい」と分けておけば、全部が社長の確認待ちで止まることはなくなります。
3つの解決策のどれを使うかは「頻度・判断・派閥」で決める
業務を楽にする方法は、決まった流れを自動で回す「ワークフロー自動化」、判断を含む作業を任せる「AIエージェント」、自社専用の道具を作る「コーディングエージェント」の3つです。SNS運用でどれを使うかは、次の3つで決めます。
- 頻度:毎週の定期投稿は、ワークフロー自動化か、コーディングエージェントで作った自社専用の仕組みにします。「過去1年分の投稿を読ませて、反応の良かった投稿の共通点を洗い出したい」「来月のキャンペーンの投稿を一度にまとめて作りたい」といった一回きりの作業なら、AIエージェントにまとめて頼めば十分です。
- 判断の要否:「確認依頼を送る」「承認された投稿を予約する」「投稿したら通知する」「反応の数字を表に集める」は判断の要らない作業なので、ワークフロー自動化で足ります。AIは「ネタから下書きを作る」「反応の良い投稿の共通点を見つける」のように、文章を読み書きして判断する部分にだけ使います。
- 派閥:Google Workspaceの会社ならスプレッドシートとGemini、Microsoft 365の会社ならExcelとPower AutomateとCopilot、それ以外ならZapierやn8nでつなぐ、というように、今使っているツールとつながるものを選びます。InstagramとXとYouTubeショートのように投稿先が多く、画像の型も複数ある場合は、Claude Codeなどのコーディングエージェントで、ネタ台帳から投稿文と画像の構成案を1週間分まとめて作る自社専用の仕組みを作る方法もあります。
なお、AIで投稿の本数を増やしても、それだけでフォロワーや問い合わせが増えるわけではありません。「求職者に会社の雰囲気を知ってもらう」「既存のお客様に新しいサービスを知らせる」など、誰に何を届けるためのSNSかを先に決めてください。目的が決まっていれば、ネタ台帳のどの出来事を投稿にするかも、AIへの指示も、自然に決まります。
📌詳しくは「データ集計・レポート作成をAIで自動化する方法」へ
SNS投稿にAIを使っている公開事例
以下は、各団体・各社が公開している事例です。ホリエモンAI学校の受講企業の事例ではありません。
- 神戸市(公開事例・生成AIによる下書き):市の公式Xの投稿文を、過去の投稿と同じ文体で作るための指示文を整備しています。元になるプレス文と過去の投稿例3件を渡し、読み手を想定したうえで投稿案を3つ作らせる形です。注意点として、過去の投稿文の蓄積が必要なこと、出力の文言や体裁の微調整は必要なことが挙げられています(出典:神戸市「生成AIによる市役所の業務効率化 -プロンプト事例集-」、令和6年1月)。
- 湖西市(公開事例・生成AIによる下書き):生成AIの活用を、SNSへの投稿文章の生成から始め、その後イベント名の提案や仕様書案の作成などに広げています(出典:総務省「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<別冊付録>先行団体における生成AI導入事例集」、令和6年7月)。同資料に記載の削減時間は、SNS投稿だけでなく各種業務の合計です。
- 株式会社ニット(公開事例・人とAIの使い分け):AI関連の情報を発信する投稿で、思いを込めたい投稿は自分で書き、セミナー情報や記事紹介は効率を優先してAIに作らせる、という使い分けをしていると紹介されています(出典:宣伝会議アドタイ「AIが広報コミュニケーションを加速させる 生成AIによるSNS投稿」、2023年6月30日)。
どの事例も、AIにゼロから自由に書かせるのではなく、過去の投稿や元になる文章を渡し、最後は人が整えています。「元ネタと見本を渡して下書きを作らせ、人は選んで直す」という、この記事で書いた進め方と同じ方向です。
SNS投稿の作成・運用についてよくある質問
AIに書かせたSNS投稿は、読む人に見抜かれて反応が落ちませんか?
見本も元ネタも渡さずに書かせると、どの会社とも似た、中身の薄い文章になりやすいのは確かです。自社の過去の投稿を見本に渡し、社内で実際にあった出来事を元ネタにすれば、自社にしか書けない投稿になります。最後に人が一言、自分の言葉を足すのも効果的です。
Instagramへの投稿も自動化できますか?
Instagramを会社のビジネス用(プロ)アカウントにしておけば、Metaの公式ツールでの予約投稿や、外部の予約投稿サービスとの連携が使えます。個人用のアカウントのままだと使える方法が限られるので、まずアカウントの種類を確認してください。
SNS担当者がいない会社でも続けられますか?
続けられます。毎日少しずつ投稿を作るのではなく、週に1回、ネタ台帳に集まった出来事からAIに下書きをまとめて作らせ、確認・承認して1週間分を予約する、という形にします。社員の仕事は、出来事に気づいたら台帳に1行書くことだけにすると、担当者が1人で抱え込まずに済みます。
まとめ:AIに「書かせる」だけでなく、ネタ集めから予約までを1本の流れにする
SNS投稿の作成・運用に時間がかかる問題は、文章を書く作業だけをAIに任せても解決しません。社内の出来事をネタ台帳に集め、過去の投稿を見本にAIで下書きを作り、承認したものは予約投稿まで自動で登録する。人の仕事を「選ぶ・直す・承認する」に絞ると、本業の合間でも続けられるようになります。
同じ「〇〇が大変」という困りごとを業務の流れに分けて解決する考え方は、「社内の連絡・申し送りが伝わらない問題をAIで解決する方法」や「議事録作成をAIで自動化する方法」でも書いています。
「SNSを更新したいが、ネタも時間もなく止まっている」「AIで文章は作れるようになったが、運用全体はまだ手作業のまま」という状況なら、今のSNS運用の流れを一緒に書き出し、どこを決めごとで直し、どこを自動にし、何をAIに任せるかを決めるところから進められます。予約投稿の機能を使うだけで解決できる場合は、その旨を正直にお伝えします。
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