【2026年最新】AI導入の補助金と助成金の違い|デジタル化・AI導入補助金と研修の助成金の使い分け方

この記事は、AIを導入したい中小企業の社長・総務担当者の、「AIに使える国のお金を調べたら、補助金と助成金が混ざっていて、うちはどれに申し込めばいいのか、そもそも受かるのか分からない」という困りごとを解決するために、私がこれまで助成金を使った研修のお手伝いで見てきたことをまとめたものです。

📌AI研修の助成金の全体像(対象確認・研修選び・金額・日程・社労士・申請の6つの順番)は「AI研修の助成金 完全ガイド」にまとめています。

結論:AIのソフトやクラウドサービスを買う費用には「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金、経済産業省・中小企業庁)、社員にAIを学ばせる研修の費用には「人材開発支援助成金」(厚生労働省)を使います。補助金は審査があり、直近の公募では応募の半分ほどしか採択されていません。助成金は審査で選ぶ制度ではなく、要件と期限を守れば受け取れます。同じ費用に両方を重ねることはできないので、「ツールの費用」と「人の育成の費用」に分けて考えるのが使い分けの基本です。

数字と制度の内容は、厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」、デジタル化・AI導入補助金事務局のホームページ、中小企業庁の支援サイトミラサポplus(2026年10月7日の採択結果)をもとにしています。


ご相談で一番多い勘違いは「うちは受かりますか?」という質問です

助成金を使った研修のご相談を受けていると、「うちでも受かるんですか」「何パーセントくらいの確率で出るんですか」と聞かれることがとても多くあります。これは、補助金と助成金を同じものだと思っている方の質問です。

補助金には採択率があるので、「何パーセント」という聞き方が当てはまります。一方、研修の助成金は、申請の要件が事前に決まっていて、社員が雇用保険に入っているなどの要件を満たし、手順と期限を守れば受け取れる制度です。選考で落とされる性質のものではありません。

ホリエモンAI学校では、これまで約300〜350件の助成金申請を顧問の社労士と一緒にお手伝いしてきましたが、不支給になった会社は1社もありません。減額が2件ありましたが、どちらも研修の途中で社員の方が退職したためでした。助成金で心配すべきは「受かるかどうか」ではなく「手順や期限を外さないかどうか」です。逆に補助金は、書類をきちんと出しても採択されないことがあるという前提で計画を立てる必要があります。


AI導入に使える補助金と助成金の違い(比較表)

AI導入でよく名前が挙がる2つの制度を、中小企業の担当者が判断に使う項目で並べました。

比べる項目デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)
所管経済産業省・中小企業庁(事務局:中小企業基盤整備機構)厚生労働省(窓口:都道府県労働局)
何にお金が出るかAIや業務ソフト、クラウドサービスの導入費(ソフトウェアの導入が必須)。導入設定・導入研修・活用コンサルなどはソフトと一緒に申請する社員に受けさせる研修の経費と、受講中の賃金の一部
もらえる割合通常枠は原則1/2以内(賃金の要件を満たすと2/3以内)中小企業は研修経費の75%。集合・ライブ研修は受講1時間あたり1,000円の賃金助成も
審査・採択あり。直近(2026年10月7日公表)は応募5,398者のうち採択2,446者採択の審査ではなく、要件を満たしているかの確認
誰と申請するか登録された「IT導入支援事業者」と共同で申請会社が申請(社労士に依頼することも多い)
先に動くと出なくなること交付決定の前に発注・契約・支払いをすると、原則対象外研修開始日の1か月前までに計画届を出していないと対象外
向いている使い方「このソフトを入れて業務を変える」と決まっているとき「社員がAIで業務を変えられるようにしたい」とき

補助金の補助率・補助額は枠や回によって変わります。申請を考える時点の公募要領を、必ず事務局のホームページで確かめてください。


まず「お金が欲しいもの」を2つに分ける

使い分けで迷う会社の多くは、「AIを導入したい」という1つの言葉の中に、性質の違う2つの費用が混ざっています。

  • ツールの費用:AIを組み込んだ業務ソフト、クラウドサービスの利用料、その初期設定など。→ デジタル化・AI導入補助金の対象になり得ます。
  • 人の育成の費用:社員がAIを使って自分の業務を変えられるようにする研修。→ 人材開発支援助成金の対象になり得ます。

ここで大事なのは、ツールを先に決めないことです。私はいつも「困りごとがあって初めてAIがある」とお伝えしています。どのソフトを入れるかは、どの業務の、どんな困りごとを解決したいかが決まってから選ぶものです。補助金が使えるからといって、困りごとに合わないソフトを入れても、業務は何も変わりません。

そこで私たちの研修では、最初に受講者に自分の業務を四角と矢印で書き出してもらい、面倒だと感じている作業を5つ挙げてもらいます。そのうえで、それぞれの困りごとを、①ワークフローの自動化、②AIエージェントによる代替、③コーディングエージェントで自社用のツールを作る、の3つのどれで解決するかを決めます。この整理をすると、新しいソフトを買う必要がある困りごとと、今あるツールの組み合わせや自社で作る小さなツールで解決できる困りごとが分かれます。後者なら、補助金を探す必要はそもそもありません。


AI導入で補助金と助成金を使い分ける3つのパターン

上の整理をしたうえで、どちらの制度をどう使うかは、おおむね次の3つのパターンに分かれます。

パターン1:買いたいソフトが決まっている → 補助金を検討する

「受発注をこのクラウドサービスに切り替える」「AI搭載の会計ソフトを入れる」のように、導入するソフトと、それで変える業務が決まっている場合は、デジタル化・AI導入補助金を検討します。ただし、補助金の対象になるのは事務局に登録されたITツールで、申請も登録されたIT導入支援事業者と一緒に行います。まずは導入したいソフトの販売会社が支援事業者に登録しているかを確認してください。採択されなかった場合でも導入するのか、採択されたときだけ導入するのかも、先に社内で決めておきます。

パターン2:何から手をつけるか決まっていない → 研修の助成金から始める

「AIを使わないとまずいのは分かるが、何に使えばいいのか分からない」という段階なら、先にソフトを選ぶのではなく、社員が自分の業務の困りごとを書き出し、AIでの解決策を考えられるようにする研修から始める方が順番として自然です。この研修費には人材開発支援助成金を使えます。研修の中で困りごとが整理できてから、本当に必要なソフトがあれば、そのときに補助金を検討すれば間に合います。

パターン3:ソフトも研修も必要 → 費用を分けて、それぞれの制度に申請する

ソフトの導入と社員の研修の両方を進める場合は、ソフトの費用は補助金、社員の研修の費用は助成金というように、費用を分けて申請します。同じ費用を2つの制度に重ねて申請することはできません。たとえば、ソフトの販売会社が行う操作説明(導入研修)を補助金の対象経費に入れたなら、その同じ費用を助成金の研修経費として出すことはできません。

もう1つ注意したいのは、スケジュールです。補助金は交付決定の前に契約・支払いをすると対象外になり、助成金は研修開始日の1か月前までに計画届を出す必要があります。両方を使うなら、補助金の申請締切と交付決定の時期、研修の開始日と計画届の締切を、1枚のカレンダーに並べてから契約日を決めてください。

📌詳しくは「【2026年最新】AI研修の助成金の条件チェックリスト|契約前に確かめる会社・社員・研修・時期の15項目」へ(研修の助成金が自社で使えるかを、契約前に15項目で確認)


補助金・助成金を使う前に確かめる5つのこと

どちらの制度を使う場合も、申し込みや契約の前に、次の5つを社内で確かめてください。1つでも答えられないうちは、契約を急がない方が安全です。

  1. どの業務の、どんな困りごとを解決するためのお金か:1文で言えない場合は、制度選びの前に業務の書き出しから始めます。
  2. その費用は「ツール」か「人の育成」か:ツールなら補助金、研修なら助成金が候補です。両方なら費用を分けます。
  3. 補助金が採択されなかったら、どうするか:採択されなくても導入するのか、見送るのかを先に決めておきます。
  4. 契約・支払い・研修開始の日付は、制度の期限に間に合うか:補助金は交付決定の後、助成金は計画届を出した後(研修開始の1か月前まで)に動きます。
  5. 受講する社員は雇用保険に入っているか:研修の助成金は、雇用保険の被保険者である社員が対象です。パートさんでも加入していれば対象になり得ます。

📌詳しくは「【2026年最新】AI研修の助成金申請の流れと必要書類|計画届から支給申請まで4段階で「いつ・何を・誰が」出すか」へ(研修の助成金で、いつ・何を・誰が出すか)

📌詳しくは「【2026年最新】AI研修の助成金は最大75%|人材開発支援助成金の対象条件・申請の流れを解説」へ(研修の助成金の全体像と助成率)


AI導入の補助金と助成金に関するよくある質問

AI研修の費用に、デジタル化・AI導入補助金(IT導入補助金)は使えますか?

研修だけを単独で申請することはできません。デジタル化・AI導入補助金はソフトウェアの導入が必須で、導入研修や活用支援は、そのソフトと一緒に申請する費用として扱われます。社員にAIを学ばせる研修そのものの費用には、厚生労働省の人材開発支援助成金を検討してください。

補助金と助成金は、同じ会社が両方使えますか?

使えます。ただし、同じ費用を2つの制度に重ねて申請することはできません。ソフトの導入費は補助金、社員の研修費は助成金というように、費用を分けて申請します。

研修の助成金は、補助金のように審査で落ちることはありますか?

人材開発支援助成金は、採択枠を競う制度ではなく、要件と手続きが支給要領で決められている制度です。私たちがお手伝いした約300〜350件では不支給は0件でしたが、計画届や支給申請の期限、出席の要件を外すと受け取れなくなります。

IT導入補助金とデジタル化・AI導入補助金は、何が違いますか?

同じ制度です。中小企業庁の令和7年度補正予算の事業から、IT導入補助金が「デジタル化・AI導入補助金」という名前に変わりました。最新の公募の内容は、事務局のホームページで確認してください。

※補助金・助成金の要件、補助率・助成率、公募のスケジュールは改正されることがあります。最新の内容は、デジタル化・AI導入補助金事務局のホームページ、厚生労働省の人材開発支援助成金のページ、または管轄の都道府県労働局でご確認ください。


まとめ:ツールの費用は補助金、人の育成の費用は助成金

AI導入に使える国の制度は、ソフトやクラウドサービスの費用に使う「デジタル化・AI導入補助金」と、社員の研修費に使う「人材開発支援助成金」に分かれます。補助金は審査があり採択されないこともある一方、研修の助成金は要件と期限を守れば受け取れる制度です。どちらを使うかを決める前に、まず自社の業務を書き出し、どの困りごとを解決するためのお金なのかをはっきりさせてください。そのうえで、ツールの費用と人の育成の費用に分け、それぞれの期限をカレンダーに並べてから契約日を決めるのが、失敗しない進め方です。

「AIを導入したいが、何から手をつければいいか分からない」「研修の助成金が自社で使えるか確かめたい」という場合は、無料相談で状況をお聞かせください。自社の今のツールで解決できる場合や、助成金を使わない方がよい場合も、その旨を正直にお伝えします。

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