【2026年最新】電気・設備工事のAI活用|現場と事務所の「写真・報告書・見積」の往復を減らす進め方と3つの解決策

この記事は、電気工事・空調・給排水などの設備工事会社の社長・事務所の責任者の、「職人さんは現場、書類は事務所。工事写真・作業報告・点検報告書・見積のやり取りが行ったり来たりして、事務所の残業が減らない」という困りごとを解決するために、私がこれまで400社・4,000人の研修で見てきたことをまとめたものです。

結論:電気・設備工事のAI活用は、現場の作業そのものではなく、「現場で撮る・書く → 事務所で整える・転記する → お客様やメーカーに出す」という往復の部分から始めると成果が出やすくなります。この往復を四角と矢印で書き出し、面倒な作業を5つ選び、「ワークフロー自動化」「AIエージェント」「コーディングエージェントで自社ツールを作る」の3つから解決策を選びます。

📌ほかの業種も含めた全体像は「業種別のAI活用事例ガイド|中小企業は「業種」より「業務」で探す」で、10業種の最初の1つを早見表にまとめています。

最初にお伝えしておくと、ホリエモンAI学校は設備工事に特化した会社ではありません。配線や施工の専門知識は、御社の職人さんの方がはるかに詳しいはずです。私たちがやっているのは、どの業種でも同じ「困りごとを書き出して、業務を分解して、自動化する」ことです。この記事では、それを設備工事の「現場と事務所のやり取り」に当てはめて説明します。


設備工事会社の困りごとは「現場と事務所の間」に集まる

ホリエモンAI学校では、受講企業と「困りごとリスト」を共有し、社員の方に自分の業務で面倒なこと・変えたいことを書いてもらっています。業種を問わず集まった1,705件の中には、設備工事の会社でそのまま起きていそうな、次のような項目が実際に書かれています。

  • 工事写真の整理に手間がかかる
  • 施工写真のチェックを自動化したい
  • 点検伝票をメーカーのシステムへ入力するのが面倒
  • 点検調書と図面の整合チェック
  • 申請書類・配線図の作成に手間がかかる
  • 設備の異常対応の連絡・調整が煩雑

どれも、職人さんの腕の問題ではありません。現場で発生した情報(写真・メモ・点検結果)を、事務所が「書類の形」に整え直すところで時間がかかっています。困りごとを似たものごとに分類した件数で見ても、「報告書・レポートの作成に時間がかかる」が27件、「日報・日誌・作業記録の入力に時間がかかる」が32件、「工事・現場の写真整理と報告書類が手間」が8件ありました(件数は私たちの困りごとリストでの件数で、設備工事以外の会社の分も含みます)。

AIで施工そのものを変える話より先に、この「間」の手作業を減らす方が、社員数十名の会社にとってはずっと現実的で、効果もすぐに見えます。


まず「点検・修理1件」の流れを四角と矢印で書き出す

「設備工事ではどのAIが使えますか」と聞かれたら、私は「まず困っていることを書いてください」と答えます。業種別の正解があるわけではなく、その会社の業務の流れを書き出せば、どこを自動化すればいいかは自然に見えてくるからです。たとえば、点検や修理を1件受けてから請求するまでの流れは、多くの会社で次のようになっています。

  1. お客様や管理会社から、電話・メール・FAXで点検や修理の依頼が届く
  2. 事務所が日程を調整し、職人さんに現場・内容を連絡する
  3. 職人さんが現場で作業し、写真を撮り、メモや点検表を手書きで残す
  4. 職人さんが事務所に戻るか、写真とメモをチャットで送る
  5. 事務所が写真を整理し、報告書・点検報告書を作る(メーカーのシステムへの入力もここ)
  6. 見積や請求書を作り、お客様に送る

文字にすると、「3と4の間で写真が誰のスマホにあるか分からなくなる」「5で写真の並べ替えと説明文の入力に1件何十分もかかる」「6の見積は詳しい人が戻るまで止まる」のように、どこが痛いかが社員自身の目で見えるようになります。口では「そんなに時間はかかっていない」と言っていた作業が、書き出すと一番時間を食っていた、ということは珍しくありません。この中から面倒な作業を5つ選び、1つずつ解決策を決めます。


3つの解決策の選び方(設備工事の例)

書き出した作業は、次の3つのどれかで解決します。選ぶ観点は3つです。1つ目は頻度で、一度きりの作業ならAIエージェントに1回やってもらえば済みます。2つ目は判断の要否で、毎回同じ手順で判断が要らないならAIを使わずワークフロー自動化で十分です。3つ目は、会社が使っているツールの「派閥」(Microsoft・Google・ChatGPT・Claudeなど)で、使える道具がそこで決まります。

解決策向いている作業設備工事での例
ワークフロー自動化毎回同じ手順で、判断が要らない作業職人さんが共有フォルダに写真を入れたら、現場名・日付ごとのフォルダに自動で振り分けて事務所に通知する/依頼メールやフォームが届いたら案件表に登録して担当者に知らせる
AIエージェント文章や写真を読む・まとめる・判断する作業職人さんが話した作業内容と写真から、報告書の下書きを作る/点検結果と図面・前回の点検調書を見比べて、食い違いの候補を挙げる
コーディングエージェントで自社ツール作成既存のツールでは自社のやり方に合わない作業紙の点検表をスマホで入力できる自社専用の画面にする/点検結果をメーカーのシステムへ入力する形に自動で整える

どれもAIを使うこと自体が目的ではありません。Microsoft 365だけを使っている会社なら、Power Automate クラウドによるワークフロー自動化だけで減らせる手作業も多くあります。

📌業務の書き出し方と3つの解決策の考え方は、業種は違いますが「製造業のAI活用事例|中小メーカーは見積・日報・図面探しから始める|業務の書き出し方と3つの解決策」でも詳しく説明しています。


職人さんに「打たせない」:作業報告はスマホに話すだけにする

設備工事の会社で一番もったいないと感じるのは、現場の作業を終えた職人さんが、事務所に戻ってからパソコンで報告を打っている、あるいは事務所の誰かが手書きのメモを打ち直している時間です。

私たちが関わった外回りの多い建築系の会社では、作業日報を「音声日報」に変えました。机でパソコンを使う仕事ではないので、スマホで文字を打つのが大変です。特に年配の方ほどそうです。そこで、スマホに話すだけにして、AIが文字起こしして文章を整え、元の音声と一緒に日報として残るようにしたところ、とても喜ばれました。

設備工事なら、同じ仕組みを作業報告に使えます。職人さんは現場で写真を撮り、「〇〇ビル3階、分電盤のブレーカー交換。既設は〇〇、交換後は正常に通電」と話すだけ。事務所には、写真と整った文章がセットで届き、報告書の下書きはできている、という状態を目指します。ここで大事なのは、AIの出来を100点にしようとしないことです。8〜9割を自動で作り、最後に事務所の人が確認して直す。それだけでも、ゼロから書類を作る時間はなくなります。


見積と紙・FAXは「8〜9割」で割り切る

現地調査をした職人さんや営業担当から「すぐ見積が欲しい」と言われても、事務所はずっと待機しているわけではなく、気づくのが遅れることもあります。私たちが関わった会社では、営業担当が自分で見積を作らず管理部に頼んでいたのを、チャット(Slack)でコマンドを打つと見積が自動で作られる仕組みに変え、数十秒で見積を受け取れるようにしました。設備工事でも、品目と数量を伝えれば単価表から見積の下書きができる仕組みは、自社ツールとして作れます。

もう1つよく聞かれるのが、管理会社や元請からの依頼がFAXや紙で届く問題です。私の考えでは、FAXや電話はそれほど怖がらなくて大丈夫です。AIに読み取らせて、案件表に登録するところまでは自動にできます。ただし、人間が読めない手書きのFAXはAIにも読めません。そういうものは翌日に電話で確認すればいい。100%の自動化を目指すと大変なので、8〜9割を自動にして、残りは人が確認する、という割り切りが続くコツです。

📌FAXや留守電の注文をどこまで自動にするかは「小売業・卸売業のAI活用|受発注・在庫・売上予測の困りごとから始める進め方」でも説明しています。


他社の公開事例:設備会社の提案書づくり

設備の分野で生成AIを使った例として、太陽光設備の設置・販売を手がけるテプコカスタマーサービスとNTTデータの検証があります(当社の受講企業ではなく、他社の公開事例です)。熟練の営業担当でも1商談あたり約2時間半かかり、提案内容も人によってばらつくことが課題でした。お客様ごとに異なる効果の計算部分は個別の仕組みで計算し、標準的な部分を生成AIで作る形にしたところ、全22ページの提案書をグラフや表を含めて高い精度で自動作成できることを確認したと紹介されています。なお、これは2025年1〜4月の社内での検証で、実際のお客様への適用はまだ行っていないと明記されています。(出典:NTTデータ ニュース)

この例でも、出発点は「1件の提案書に時間がかかる」「人によって内容がばらつく」という具体的な困りごとで、計算が必要な部分とAIに任せる部分を分けています。設備工事の報告書や見積でも、「数字や型が決まっている部分」と「文章をまとめる部分」を分けて考えると、どこに何を使えばいいかが決めやすくなります。


よくある質問

職人さんがスマホやAIに慣れていなくても使えますか?

使えます。職人さんに新しいアプリの操作を覚えてもらうより、「写真を撮って、スマホに話すだけ」のように、今やっていることに近い形にする方が定着します。文章を整える、書類の形にする、といった部分はAIと事務所側で受け持つように仕組みを作ります。

工事写真や図面をAIに入れても大丈夫ですか?

会社の環境とルール次第です。Microsoftの環境の中だけで使うなら漏れる心配はほとんどなく、それでも不安なら外部につながないローカル環境のAI(ローカルLLM)で動かす方法もあります。まず社内で、どのAIに何を入れてよいかのルールを決めてから始めることをおすすめします。

施工管理アプリを入れていれば、AIは要りませんか?

アプリで解決できている業務なら、無理にAIを足す必要はありません。ただ、アプリの外に残っている転記(メーカーのシステムへの入力、管理会社ごとに形式が違う報告書など)は多くの会社にあります。業務を書き出して、アプリでカバーできていない作業だけを、ワークフロー自動化やAIで埋めるのが無駄のない進め方です。


まとめ

電気・設備工事のAI活用は、現場の施工を変えることではなく、現場と事務所の間を行き来する写真・作業報告・点検報告書・見積の手作業を一つずつ減らしていくことです。点検や修理1件の流れを四角と矢印で書き出し、困りごとを5つ選び、頻度・判断の要否・使っているツールを見て3つの解決策から選ぶ。職人さんには打たせず、AIの出来は8〜9割で割り切る。この順番なら、専任の担当者がいなくても事務所主導で進められます。

📌勤務表や人員配置表のように条件の多い表をAIに作らせる例は「介護施設のシフト作成をAIで自動化する方法|Geminiで条件を守ったシフト案を作る3ステップ」へ。職人さんの現場割り振りにも同じ考え方が使えます。

「工事写真や報告書の手作業を減らしたいが、自社のどの業務から手をつければいいか分からない」「AIを導入したいが、社内に進められる人がいない」という状況なら、ご相談ください。ホリエモンAI学校の法人プランでは、毎月の面談で御社の困りごとリストを一緒に整理し、どの方法で解決するかまで伴走します。施工の専門知識は御社の方が詳しいので、私たちは業務の分解と自動化の方法をお手伝いします。

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