【2026年最新】AIへの指示の出し方が分からない社員をなくす方法|仕事を四角と矢印で書き出して「頼み方」を会社の仕組みにする4ステップ

この記事は、社員にChatGPTやCopilotを配ったのに「何をどう頼めばいいか分からない」と手が止まり、使っているのは一部の詳しい社員だけになっている中小企業の社長・DX担当者の、「ツール代を払っているのに、頼み方を覚えた人しか得をしていない」という困りごとを解決するために、私がこれまで400社・4,000人の研修で見てきたことをまとめたものです。

結論:社員がAIへの指示の出し方が分からない原因は、文章力ではなく「自分の仕事を、AIに渡せる形の言葉にしていない」ことです。困っている作業を1つ選んで四角と矢印で書き出すと、各作業でAIに渡す材料と欲しい形が決まり、それがそのまま指示文になります。そのうえで、毎回同じ頼み方になる作業は頼む手間そのものをワークフロー自動化でなくし、判断が要る作業はAIエージェントに任せ、部署ごとに何度も使う頼み方は「やりたいことを書くと指示文を返す」社内ツールにします。プロンプトのコツを全員に覚えさせるより、頼み方を会社の仕組みにするほうが、詳しくない社員まで使えるようになります。


「頼み方が分からない」は、受講企業の困りごとで5番目に多い

ホリエモンAI学校では、受講企業の社員の方に「困りごとリスト」を書いてもらっています。集まった1,705件を似たもの同士でまとめると、「AIツールの使い方・指示の出し方が分からない」は35件で、98種類の困りごとの中で5番目に多いものでした。議事録、データ集計、資料探し、見積書といった業務そのものの困りごとと並んで、「AIの使い方」自体が上位に入っています。

35件を一つずつ読むと、同じ「使い方が分からない」でも中身は4つに分かれます。私たちが内容で分けると次のようになります。

困りごとの中身件数実際に書かれていた声(例)
頼み方・質問の仕方が分からない、思い通りの答えにならない10件AIへの指示の出し方がわからない/AIへの質問のコツを知りたい/AIツールが思い通りに使えない/プロンプトやナレッジの作成レベルを上げたい
そもそも自分の仕事の何に使えばいいか分からない9件AIの活用方法がわからない/AIツールで何ができるか知りたい/自社業界でのAI活用法がわからない/AIエージェントの活用方法がわからない
特定の作業でつまずいている8件スプレッドシートの関数がわからない/適切なマクロ関数を使えるようにしたい/AIでのHP制作がうまくいかない/営業ロープレをAI相手に行いたい
学び方・情報の追い方が分からない8件AIの最新情報の追い方が分からない/次に学ぶべき動画が分からない/専門用語がわからない

出典:ホリエモンAI学校の受講企業が記入した困りごとリスト(1,705件を98種類にまとめた社内集計、2026年10月時点)。分け方は筆者によるものです。

ここで大事なのは、「頼み方が分からない」と「何に使えばいいか分からない」がほぼ同じ件数で並んでいることです。頼み方の講座を受けても、頼む仕事が決まっていなければ使う場面がありません。逆に、つまずいている作業がはっきりしている8件は、その作業の流れさえ書き出せば、頼み方はすぐに決まります。


原因は文章力ではなく「仕事を言葉にしていない」こと

私たちが受講企業と毎月行っている面談で一番多い相談も、「AIが何に使えるのか分からない」というものです。世間でAIが流行っているのは分かっているけれど、自分の会社にとって使っていいことがあるのかどうかが分からない。何が分からないのかが分からない、という相談は本当に多くあります。

頼み方が分からない社員に「もっと具体的に書きましょう」「役割を与えましょう」とコツを教えても、手が止まる理由はそこではありません。たとえば「お客様への返信メールを書いて」と頼むと、AIは当たり障りのない文面を返します。良い返信に必要なのは、「どのお客様の、何の問い合わせで、前回どんなやり取りがあり、社内の決まりでは何を答えてよいか」という材料です。その材料は、文章のうまさではなく、自分の仕事の流れを知っているかどうかで決まります。

つまり、指示の出し方が分からない社員は、AIの使い方より先に、自分の仕事を「何を受け取って、何を見て、何を作るか」の言葉にしていないのです。ここを飛ばしてテンプレート集だけを配っても、自分の仕事のどこに当てはめればいいか分からないので、使われないまま終わります。

📌社員が使わない原因をもう少し広く(ルール・時間・評価まで)見たい方は「社員が生成AIを使わないのはなぜ?配ったのに使われない5つの原因と、使われる状態に変える5ステップ」へ


頼み方を決める4ステップ

Step1. 面倒な作業を5つ書き出し、1つ選ぶ

ホリエモンAI学校では、まず社員一人ひとりに「面倒な仕事、嫌な仕事」を5つほど箇条書きにしてもらいます。「AIで何ができるか」から考えると答えが出ませんが、「何が面倒か」なら誰でも書けます。その中から、毎週くり返していて、時間がかかっているものを1つ選びます。

Step2. 選んだ作業を四角と矢印で書き出す

次に、その作業を四角(作業)と矢印(順番)で書き出します。例として「お客様からの問い合わせメールに返信する」を書き出すと、次のようになります。各作業の右に「AIに渡す材料」と「欲しい形」を書き足すのがポイントです。

#作業AIに渡す材料欲しい形
1問い合わせメールを読む届いたメール本文「質問・要望・期限」の3行の要約
2過去のやり取りを探すそのお客様との過去のメール、顧客台帳前回までの経緯の箇条書き
3答えてよい内容を確かめる価格表、規約、よくある質問集答えてよいこと・確認が要ることの一覧
4返信の下書きを作る1〜3の結果、会社の文面のルール件名つきの返信文(敬語・署名入り)
5上司に確認して送る下書き確認ポイントを3つ添えたもの

書き出してみると、「返信メールを書いて」という一言の頼み方が、実は5つの作業に分かれていることが分かります。社員が手を止めていたのは、AIに頼むときにこの材料が頭の中で整理されていなかったからです。

Step3. 表の行を、そのまま指示文にする

表ができたら、各行を「〇〇(材料)をもとに、△△(欲しい形)を作ってください。目的は□□です」という1文に置き換えます。たとえば4番目なら、「下のお客様のメールと、これまでの経緯、答えてよい内容をもとに、件名つきの返信文を作ってください。目的は、お客様が次に何をすればいいか分かる返信にすることです。当社は〇〇の言い回しを使いません」となります。文章の上手下手ではなく、表の中身が指示文の質を決めます。

答えがいまいちだったときも、文章をいじる前に表を見直してください。多くの場合、材料が足りない(過去のやり取りを渡していない)か、欲しい形があいまい(「いい感じに」と書いている)かのどちらかです。

📌指示文そのものの書き方の型と例文は「ChatGPTプロンプトの書き方|基本の型4要素とコツ・業務別テンプレート例」へ

Step4. 頼み方を「人が覚えるもの」から「仕組み」に移す

指示文ができても、毎回それを探してコピーして材料を貼り付けるのは手間です。ここで、作業の頻度と、判断が要るかどうか、会社で使っているツールの派閥(Microsoft・Google・ChatGPT・Claude)を見て、頼み方の置き場所を3つから選びます。

作業の性質向いている方法問い合わせ返信の例
毎回同じ材料・同じ頼み方で、判断がほとんど要らないA ワークフロー自動化:頼む作業そのものをなくすメールが届いたら自動で要約と過去のやり取りを集め、返信の下書きまで作ってチャットに届ける(Power Automate、Zapier、n8nなど)
毎回状況が違い、調べたり判断したりが要る/たまにしかやらないB AIエージェント:材料集めから任せる「このクレームへの返信方針を、過去の対応と規約を調べて3案出して」と任せ、人は選んで直す
部署ごとに何度も使い、会社の言葉やルールを毎回入れたいC コーディングエージェントで社内ツールを作る社員がチャットに「やりたいこと」を書くと、部署の表と会社のルールを組み込んだ指示文を返す小さなツールを作る

Aを選べば、社員は頼み方を覚える必要すらありません。頼み方が分からないという困りごとの、一番根本的な解決はこれです。逆に、判断が要る仕事をAで無理に自動化すると例外だらけになるので、そこはBかCに回します。

📌同じ考え方で、議事録づくりを自動化した手順は「議事録作成をAIで自動化する方法|文字起こしで終わらせない、会議後の「清書・共有・ToDo」まで減らす手順」へ


公開事例:テンプレートを配った自治体と、「詳しい人」を置いた自治体

総務省がまとめた生成AIの導入事例集には、指示の出し方の差を埋めようとした自治体の公開事例が載っています。

岡山県西粟倉村は、プロンプトによって出力の精度が変わるため基礎的な力を上げる必要があるとして、繁忙期を避けて体系的な勉強会を開き、プロンプトのテンプレートを配布しました。勉強会には職員の半数以上が参加し、その後も継続的な利用が確認されていると紹介されています。北海道当別町は、全庁に展開したところ、積極的に使う職員とそうでない職員に二極化したため、説明会・研修会・庁内向けのマガジン・プロンプトの共有に加え、使いこなしている職員を選んだ推進チームを置いたと紹介されています(出典:総務省「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<別冊付録>先行団体における生成AI導入事例集」、令和6年7月)。

どちらも、頼み方を個人の努力に任せず、テンプレートや身近な相談相手という「会社の仕組み」で埋めようとしている点が共通しています。中小企業ならさらに一歩進めて、テンプレートを配るだけでなく、上のStep2の表のように「自社の業務に結びついた頼み方」にしておくと、配ったテンプレートが使われないという事態を防げます。


自社でできること・外部に頼んだほうがよいこと

Step1〜3は、外部の力を借りなくても社内でできます。社長か担当者が、1つの部署と一緒に作業を1つ書き出し、表から指示文を作って試すところまでなら、特別なツールを入れなくても今日から始められます。まずはここまでやってみてください。

外部の支援を検討したほうがよいのは、Step4のAやCで、メール・チャット・顧客台帳などをつないで仕組みにする段階です。どのツールをつなぐか、社外に出してよい情報はどこまでかといった判断が入るため、ここで止まる会社が多くあります。

📌会社のデータをAIに渡すときの注意点は「ChatGPTの情報漏えい対策|会社で使うときの5つの漏れ道と、管理者が確認する設定チェックリスト」へ


AIへの指示の出し方についてよくある質問

社員にプロンプトの研修を受けさせれば、指示の出し方は分かるようになりますか?

研修で書き方の型は身につきますが、それだけでは自分の仕事に当てはめられない社員が多く残ります。研修の前後に、各自の面倒な作業を1つ選んで四角と矢印で書き出す時間を取ると、学んだ型を使う場面がはっきりします。

指示文のテンプレートは誰が作ればいいですか?

その業務を毎日やっている担当者が作るのが一番です。詳しい社員やIT担当が作ると、現場で本当に必要な材料が抜けがちです。担当者が作業を書き出し、詳しい社員が指示文の形に整える、という分担が現実的です。

AIの答えがいまいちなとき、まず何を直せばいいですか?

指示文の言い回しより先に、渡した材料と欲しい形を見直してください。過去のやり取りや社内の決まりなど、人なら当然知っている材料をAIは持っていません。材料を足し、「件名つき」「3行で」のように欲しい形を具体的にすると、多くの場合は改善します。


まとめ:頼み方は、社員が覚えるものではなく会社が用意するもの

AIへの指示の出し方が分からないのは、社員の文章力の問題ではなく、仕事がAIに渡せる言葉になっていないことが原因です。面倒な作業を1つ選び、四角と矢印で書き出して、各作業の材料と欲しい形を決めれば、それがそのまま指示文になります。さらに、毎回同じ頼み方はワークフロー自動化で頼む手間ごとなくし、判断が要るものはAIエージェントに任せ、部署で何度も使う頼み方は社内ツールにする。頼み方を個人のコツから会社の仕組みに移すことで、詳しくない社員まで使えるようになります。

「ChatGPTやCopilotを配ったが、使っているのは一部の社員だけ」「研修を受けさせたのに、自分の仕事にどう使えばいいか分からないと言われる」という状況なら、社員の方と一緒に作業を書き出し、どの作業をどの方法で仕組みにするかを決めるところから進められます。社内の書き出しとテンプレートの整備だけで足りる場合は、その旨を正直にお伝えします。

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