【2026年最新】ChatGPTの人事・採用での活用|求人原稿の下書きで終わらせない、応募者対応の自動化と「AIに決めさせない」2つの線引き

この記事は、人事・採用の担当者にChatGPTを使わせてみたものの、求人原稿の言い回しを直す程度にしか使われず、「応募者への連絡や入社手続きに追われる状態が変わらない」と感じている中小企業の社長・人事責任者の困りごとを解決するために、私がこれまで400社・4,000人の研修で見てきたことをまとめたものです。

結論:人事・採用でChatGPTの効果が出るのは、求人原稿や面接質問の「下書き」と、応募者情報の転記・一次連絡・期限管理といった「毎回くり返す作業の自動化」の2つです。前者はChatGPTに頼めば済み、後者はチャットではなく仕組みにします。一方で、合否や人事評価の判断はAIに決めさせず、必ず人が決めます。この3つを分けずに「人事でもChatGPTを使おう」と始めると、下書きだけで止まります。

📌部署ごとのChatGPTの使い方の全体像は「法人向けChatGPT活用ガイド|部署別の使い方と導入5ステップ」で解説しています。この記事は人事・採用に絞り、どの作業をどう減らすか、どこからはAIに任せないかを具体的に書いています。


人事・採用の困りごとは「書く」より「転記する・連絡する・追いかける」にある

ホリエモンAI学校では、受講企業に「困りごとリスト」を書いてもらっています。集まった1,705件を似たもの同士でまとめると、人事・採用・労務に関わるものは次のように出てきます。

困りごと(受講企業の困りごとリストより)件数
勤怠管理・打刻・集計に手間がかかる27件
採用・応募者対応と応募データ管理に手間がかかる25件
シフト・人員配置表の作成に時間がかかる20件
研修・社員教育の資料づくりと進捗管理が大変19件
入退社・人事労務の書類作成と手続きが手間18件
給与計算・給与データ入力に時間がかかる8件
求人原稿・求人広告の作成に時間がかかる6件

出典:ホリエモンAI学校の受講企業が記入した困りごとリスト(1,705件を98種類にまとめた社内集計、2026年10月時点)。

「採用・応募者対応」の25件の中身を見ると、「応募情報をスプレッドシートへ自動で転記したい」「営業時間外に来た応募者へ自動で対応したい」「応募者への状況確認の連絡を自動化したい」「応募が来たらSMSを自動で送りたい」「面接票を自動で作りたい」といった声が並びます。求人原稿づくり(6件)のような「文章を書く」困りごとより、届いた情報を写す、連絡する、期限を追いかける、という作業の方がずっと多いのです。ChatGPTに文章を書かせるだけでは、この多い方の困りごとはほとんど減りません。


最初に、採用1件の流れを四角と矢印で書く

私たちは、AIの使い方より先に、業務を四角と矢印で書き出してもらいます。病院で「頭が痛い」と症状を言うのが先で、薬の名前から入らないのと同じです。採用なら、たとえば次のような流れになります。

求人原稿を作る → 求人媒体に載せる → 応募が届く → 応募者情報を管理表に写す → 応募者に最初の連絡をする → 書類選考 → 面接日を調整する → 面接 → 評価をまとめる → 合否を連絡する → 入社手続き

この11の四角のうち、「面倒な作業」「時間がかかる作業」を人事担当者に5つ書いてもらいます。書き出すと、多くの会社で手が止まっているのは「管理表に写す」「最初の連絡」「面接日の調整」の3つで、どれも応募が増えるほど比例して重くなる作業だと分かります。逆に、書類選考・面接・合否は、人が判断する四角です。ここを分けて見るのが出発点です。


ChatGPTに頼めば済む人事・採用の作業4つ

毎回中身が違い、1回ずつ人が考える作業は、ChatGPTに話しかけるだけで十分に楽になります。人事で最初に試すなら次の4つです。どれも、応募者や社員の個人情報を入れなくてもできる作業です。

1. 応募が入らない求人原稿の見直し

今の求人原稿を貼り付け、「この求人に応募が少ない。仕事内容・一日の流れ・向いている人・向いていない人が伝わるように直し、直した理由も書いてください」と頼みます。ゼロから書かせるより、今の原稿を直させる方が自社らしさが残ります。給与や休日などの条件は、ChatGPTに考えさせず、必ず会社が決めた内容を入れてください。

2. 面接の質問案と面接票の型

「この職種で入社後に必要になる力は〇〇と〇〇。それを確かめる面接の質問を、聞く順番と、良い答え・気になる答えの例つきで出してください」と頼み、面接票(評価シート)の型を作ります。面接官ごとに聞くことがばらばら、という状態が減ります。後で触れるとおり、職務に関係のない質問が入っていないかは人が確認します。

3. 社内通知・手続き案内の文面

年末調整の書類提出のお願い、健康診断の案内、制度変更のお知らせなど、毎年少しずつ中身が変わる社内向けの文面は、要点を箇条書きで渡して「全社員向けに、期限と提出方法が一目で分かる案内文にしてください」と頼めば下書きができます。

4. 新入社員研修・社内研修の資料の骨子

「入社初週に覚えてほしいことは〇〇。1日目〜5日目のスケジュールと、各日の確認テストを3問ずつ作ってください」と頼むと、研修資料の骨組みが短時間でできます。中身の正しさは、その業務の担当者が確認します。


チャットでは足りない、毎回くり返す人事の作業3つ

上の4つは便利ですが、困りごとの多い「転記する・連絡する・追いかける」は、ChatGPTの画面に貼り付けて頼むやり方では減りません。応募が月に何十件も来る会社で、1件ずつチャットに貼っていたら、かえって手間が増えます。業務の改善方法は、ワークフロー自動化(決まった流れを自動で回す)、AIエージェント(判断が入る作業をAIに任せる)、コーディングエージェント(自社専用の小さなツールを作る)の3つです。人事でよく出る作業に当てはめると、次のようになります。

1. 応募の転記と最初の連絡 → ワークフロー自動化

複数の求人媒体から届く応募通知を、人事担当者が1件ずつ開いて管理表に写し、応募者にお礼と面接日程の案内を送る。これは典型的な「毎回同じ流れ」の作業です。応募通知が届いたら、必要な項目を取り出して管理表に1行足し、応募者には日程予約のリンクつきの案内を自動で送る、という流れにすれば、営業時間外に来た応募者にもすぐ返事が届きます。媒体ごとに通知の書き方が違う部分だけ、AIに項目を読み取らせます。人事担当者は、管理表を見て書類選考をするところから始められます。

2. 入退社手続きと期限の管理 → ワークフロー自動化

入社が決まったら、必要書類の案内を送り、提出期限の前日に未提出の人へ自動で知らせ、社会保険などの手続き期限を担当者に通知する。退職も同じです。困りごとリストには「各種期限の管理と自動通知をしたい」という声も出ています。人がカレンダーとにらめっこして追いかけている作業は、期限を管理表に入れておけば自動の通知に置き換えられます。

3. 社員の状態を早めに知る → AIエージェントか、自社のツール

困りごとリストには「離職の予兆を早めに把握したい」「退職リスクを早期に発見したい」という声もあります。言葉の感覚が鋭い上司なら、日報や社内チャットの書きぶりから「へこんでいるな」と気づけますが、そうでない上司は気づきませんし、忙しいと読みません。読んでも仕事の進み具合を見るのが精一杯です。私が見てきた会社の中には、SlackやChatworkの日報・社内のやりとりをAIに読み込ませ、前の週や前の月と比べて、仕事量や気持ちの変化を見える化する仕組みを自社で作ったところがありました。こうした仕組みは、社員に何のために何を見るのかを先に説明し、社内ルールで扱いを決めてから始めてください。監視のための道具にしてはいけません。

どれを選ぶかは、①その作業の頻度、②人の判断が必要か、③会社で使っているツールの系統で決めます。会社がMicrosoft 365で統一されているなら、Power Automateでのワークフロー自動化だけでも、1と2はかなり自動にできます。

📌応募が多い業種での具体的な進め方は「人材派遣会社のAI活用|応募対応の転記・勤怠から給与と請求を作る照合を減らす進め方と3つの解決策」でも解説しています。


AIに決めさせてはいけない2つのこと

人事は、ほかの部署よりも「AIに任せない線」をはっきり引く必要がある部署です。

1. 合否と人事評価は、AIに決めさせない

書類選考の観点を整理させたり、面接メモを読みやすくまとめさせたりするのはかまいません。しかし、合否や評価の結論をAIに出させるのは避けてください。AIの出力は、学習したデータの偏りをそのまま映すことがあり、なぜその結論になったのかを人が説明できません。厚生労働省は「公正な採用選考の基本」で、応募者の適性と能力に関係のない事柄で採否を決めないよう求めています。AIが作った面接の質問案に、家族や出身地など職務に関係のない質問が混ざっていないかも、人が確認してください。

2. 履歴書や社員の個人情報を、決めていない場所に入れない

人事が扱う情報の多くは個人情報です。個人情報保護委員会は「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」で、事業者が個人情報を含む指示を生成AIに入力する場合は、利用目的の達成に必要な範囲内であることを十分に確認するよう求めています。少なくとも、社員の個人アカウントのChatGPTに履歴書を貼る、という使い方はやめてください。会社で契約したアカウントを使い、「どの情報を、どの作業のために入れてよいか」を社内ルールで先に決めておきます。

📌会社でChatGPTを使うときの漏れ道と、管理者が確認する設定は「ChatGPTの情報漏えい対策|会社で使うときの5つの漏れ道と、管理者が確認する設定チェックリスト」へ


人事にしかできない仕事:AIで速くなった人をどう報いるか

人事とAIの関係で、私がいちばん大事だと思っているのは、人事が「AIを使う側」であると同時に「AIを使った社員を評価する側」でもある、という点です。

研修の場で、担当者がいないときに受講生が本音を話すと、「10時間かかっていた作業が2時間でできても、残りの8時間に別の仕事が降ってくるだけ。それなら自分のやり方で気持ちよく仕事をしたい」という声が少なくありません。AIを使って今までの何倍もの仕事をこなしているのに給料が変わらない、ということが実際に起きます。これでは誰も本気で取り組みません。

だから私は、AIで時間を短くした人の給料を上げる、外注をやめて浮いた費用の1か月分をその部署の予算として渡す、といった「AIを使った方が得をする」制度を作ることを勧めています。これは人事担当者だけでは決められない、社長と人事が一緒に決める仕事です。人事部がChatGPTで自分の作業を減らすことと同じくらい、全社でAIが使われる仕組みを作ることが、人事の役割だと考えています。


人事部で始める4ステップ

明日から動くなら、次の順番で進めてください。

ステップやること目安
1. ルールを決める会社のアカウントを用意し、応募者・社員の情報のうち「入れてよいもの・入れないもの」と「AIに決めさせないこと(合否・評価)」を決める1週間
2. 書き出す採用1件の流れ(求人原稿〜入社手続き)を四角と矢印で書き、面倒な作業を5つ選んで、月の回数と1回の時間を横に書く30分
3. チャットで試す求人原稿の見直し・面接の質問案・社内案内など、個人情報を入れずにできる作業から、上の4つの頼み方で1週間試す1週間
4. 自動化に回す応募の転記・最初の連絡・期限の通知のように、件数に比例して重くなる作業を、ワークフロー自動化か自社ツールに置き換える1〜2か月

営業部でも同じ考え方で進められます。営業部の例は「ChatGPTの営業での活用|商談前後の作業の減らし方と「チャットでは足りない」3つの業務」へ。社員の個人アカウントでの業務利用をやめる理由と切り替え方は「ChatGPTの法人と個人の違い|個人アカウントの業務利用のリスク」で解説しています。


ChatGPTの人事・採用での活用についてよくある質問

応募者の履歴書をChatGPTに入れて要約させてもいいですか?

社員の個人アカウントには入れないでください。会社で契約した法人向けアカウントを使い、採用選考という利用目的の範囲内で、社内ルールで入れてよいと決めた場合に限ります。氏名や連絡先を消してから入れる、要約は選考の参考にとどめる、といった決め方もあります。

書類選考をAIに任せてもいいですか?

合否の判断は人が行ってください。AIには、求人の必須条件を満たしているかの確認表を作らせる、面接で確かめたい点を書き出させる、といった判断の材料づくりを任せます。最終的な結論とその理由を、人事担当者が自分の言葉で説明できる状態にしておくことが大切です。

応募者へのメールをAIに自動で送らせても大丈夫ですか?

受付のお礼や面接日程の案内のように、文面が決まっている連絡なら自動で送ってかまいません。不採用の連絡や条件の話など、相手の受け止め方が大きく変わる連絡は、AIに下書きさせても、送る前に必ず人が読んでから送ってください。

📌入れてよい情報や禁止事項の決め方は「生成AIの社内ルール(ガイドライン)の作り方」へ


まとめ:人事のChatGPT活用は「下書き・自動化・人が決める」の3つに分ける

人事・採用でChatGPTの効果が出るのは、求人原稿・面接の質問・社内案内などの下書きと、応募の転記・最初の連絡・期限管理といった、件数に比例して重くなる作業の自動化です。合否と評価はAIに決めさせず、個人情報は入れてよい範囲を先に決めてください。そして、AIで速くなった社員が得をする制度を作ることが、人事にしかできない仕事です。

「人事担当者が応募者対応と手続きに追われて、採用の中身を考える時間がない」「ChatGPTは入れたが、人事で何に使ってよいかの線引きができていない」という状況なら、採用業務の書き出しと社内ルールづくりから一緒に進められます。

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