【2026年最新】ChatGPTの経理・総務での活用|チャットで済む4つの作業と、請求書・仕訳・入金確認など「毎月くり返す作業」の仕組み化

この記事は、経理・総務の担当者にChatGPTを配ったのに、社内通知の文面づくりくらいにしか使われず、「月末の請求書・仕訳・入金確認の手間は何も減っていない」と感じている中小企業の社長・管理部長の困りごとを解決するために、私がこれまで400社・4,000人の研修で見てきたことをまとめたものです。

結論:経理・総務でChatGPTのチャットが役に立つのは、文書の下書きやExcelの式づくりなど「1回ずつ考える作業」です。経理の時間を本当に奪っている請求書の作成・受け取り、仕訳入力、入金確認のような「毎月くり返す作業」は、チャットに貼り付けて頼むのではなく、ワークフロー自動化か、会計ソフトとつないだAIエージェントで仕組みにします。月末の残業が減らない会社は、この2つを分けずにチャットだけで何とかしようとしていることがほとんどです。

📌部署ごとのChatGPTの使い方の全体像は「法人向けChatGPT活用ガイド|部署別の使い方と導入5ステップ」で解説しています。この記事は経理・総務に絞り、どの作業をどう減らすかを具体的に書いています。


経理の困りごとは「毎月くり返す手作業」に集まっている

ホリエモンAI学校では、受講企業に「面倒な仕事、時間がかかる仕事」を書き出してもらっています。集まった困りごと1,705件を似たもの同士でまとめると、経理・請求に関わるものだけで157件ありました。中身は次のとおりです。

困りごと(受講企業の困りごとリストより)件数
受け取った請求書・証憑のダウンロード・保存・名前付けが手間27件
受け取った請求書のチェック・転記・発注内容との突き合わせが手間22件
入金確認・消込・残高照合に手間がかかる21件
請求書の作成・発行・送付が毎月手間21件
経費精算・領収書処理に手間がかかる20件
仕訳入力・会計ソフトへの入力が手間20件
月次決算・税務チェック・予算資料に時間がかかる13件
支払・振込手続きに手間がかかる8件
電子帳簿保存法に対応した書類保管が大変5件

出典:ホリエモンAI学校の受講企業が記入した困りごとリスト(1,705件を98種類にまとめた社内集計、2026年10月時点)。総務・労務では、このほかに勤怠の集計(27件)、入退社の書類と手続き(18件)も多く出ています。

「文章がうまく書けない」という困りごとは、経理ではほとんど出てきません。出てくるのは、毎月同じ形で発生し、データをあちらからこちらへ移したり、2つのデータを突き合わせたりする作業です。ChatGPTに質問するだけでは楽にならないのは、困りごとの形がチャット向きではないからです。


最初に、経理の1か月を四角と矢印で書く

ホリエモンAI学校では、AIの使い方より先に、業務を四角と矢印で書き出してもらいます。病院で薬の名前から入らず、まず症状を伝えるのと同じです。中小企業の経理なら、たとえば次の3本の流れになります。

支払い:請求書がメールやWebで届く → ダウンロードして保存 → 金額・口座を確認 → 会計ソフトに入力 → 支払い一覧を作る → 振込

売上:取引先ごとの売上を確認 → 請求書を作る → PDFにしてメールで送る → 入金を確認 → 消込

月末:経費精算を締める → 仕訳をチェック → 試算表を確認 → 社長に報告

この四角の横に「1か月に何回あるか」「1回何分かかるか」を書いてください。書き出すと、口では「そんなに時間はかかっていない」と言っていた作業が、月に何時間も使っていたと分かることがよくあります。回数×時間が大きいものから手をつけます。


ChatGPTのチャットで済む経理・総務の作業4つ

毎回中身が違い、1回ずつ人が考える作業は、ChatGPTに話しかけるだけで十分に楽になります。経理・総務で最初に試すなら次の4つです。

1. 社内通知・規程・案内文の下書き

「経費精算の締め日を毎月25日に変える。社員向けの通知文を、変更の理由と、間に合わない場合の連絡先つきで書いてください」のように、決まったことと目的を書いて頼みます。年末調整の案内、備品購入のルール、慶弔規程の文案など、総務が年に数回書く文書ほど効果があります。

2. Excelの関数・集計表の作り方を聞く

「A列に取引先名、B列に金額が入っている。取引先ごとの合計を別シートに出す式を教えてください」と、表の形を言葉で説明して聞きます。会社でMicrosoft 365のCopilotを契約しているなら、Excelの画面の横に出てくるCopilotに、表を開いたまま頼むこともできます。

3. 勘定科目や処理に迷った取引の「考え方」を整理する

「社員の資格取得の受験料を会社が負担した。どの勘定科目の候補があり、それぞれどんな条件で使い分けるか教えてください」と、判断の材料を出してもらいます。ただし、ChatGPTの答えは間違っていることがあります。最終的な処理は、自社のこれまでの処理ルールと顧問税理士の判断に合わせてください。

4. 社内からの同じ質問への回答文を作る

「交通費はどう申請するの?」「領収書をなくしたら?」のように、経理・総務には同じ質問が何度も届きます。社内規程の文章を貼り、「社員からよく来る質問10個と、その答えを規程に沿って作ってください」と頼めば、社内向けのよくある質問集の下書きができます。

📌営業部での使い方は「ChatGPTの営業での活用|商談前後の作業の減らし方と「チャットでは足りない」3つの業務」で解説しています。


チャットでは足りない、毎月くり返す経理の作業3つ

ここが一番大事なところです。請求書を1枚ずつChatGPTに貼り付けて読ませても、貼り付ける手間と、結果を会計ソフトに写す手間が残ります。月に数十枚、数百枚ある作業では、チャットではほとんど時間が減りません。

業務の改善方法は、ワークフロー自動化(決まった流れを自動で回す)、AIエージェント(判断が入る作業をAIに任せる)、コーディングエージェント(自社専用の小さなツールを作る)の3つです。経理でよく出る作業に当てはめると、次のようになります。

1. 毎月の請求書の作成・送付 → ワークフロー自動化

取引先と金額がほぼ決まっている毎月の請求書は、判断がほとんど要りません。こういう作業にはAIすら不要で、「毎月○日に売上の表から請求書を作り、PDFにして取引先にメールする」という流れを、Power Automate(Microsoft 365の会社)、Zapier、n8nといったワークフロー自動化ツールで組めば済みます。届いた請求書をメールから自動で保存し、決まった名前を付けてフォルダに入れる作業も同じです。

2. 仕訳・会計ソフトへの入力 → 会計ソフトとつないだAIエージェント

経理で私が一番効果を感じているのは、freeeやマネーフォワードといった会計ソフトとAIをつなぐ使い方です。Claude Codeのようなエージェントを会計freeeにつなげば、「この領収書を仕訳して」「今月の経費を部門別に集計して」「キャッシュフローを出して」「どこを伸ばせば利益が増えるか教えて」まで、会計ソフトのデータを直接見ながら答えてくれます。チャットの画面に数字を貼り付ける必要はありません。

領収書については、Googleドライブに置いた領収書の画像から項目を読み取り、勘定科目を判定して、freee会計に仕訳の下書きを登録する流れを作った例もあります。担当者は最後に確認して承認するだけです。

📌流れの詳細は「Zapier×AI OCR×freeeで領収書処理を自動化|経理DX事例」へ

3. 入金確認・消込 → データの突き合わせを自動にする

銀行の入金明細を見ながら、どの請求書の入金かを1件ずつ探して消し込む作業は、2つのデータの突き合わせです。銀行の入出金データと請求書の一覧を自動で取り込み、金額と振込名義が一致したものは自動で消し込み、合わないものだけを担当者に知らせる形にします。名義の表記ゆれ(カナ・略称)の判断が多い会社はAIエージェントに、ほとんど一致する会社はワークフロー自動化や自社専用の小さなツールで十分です。

どれも、最初から100%の自動化を目指さないでください。8〜9割が自動で片づき、残りの例外だけを人が見る状態でも、月末の負担は大きく変わります。どの手段を選ぶかは、①その作業の頻度、②人の判断が必要か、③会社で使っているツールの系統(Microsoft、Google、会計ソフトの種類)で決めます。

📌3つの手段の違いと選び方は「AIで事務作業を自動化する方法|自動化しやすい事務7つと「3つの手段」の選び方」へ


経理のデータをChatGPTに入れる前に決めること

経理・総務が扱うのは、取引先名、金額、口座番号、社員の給与や住所といった、外に出てはいけない情報ばかりです。ChatGPTを使う前に、次の3つを決めてください。

決めること内容
どのアカウントで使うか会社が契約した法人向けのアカウント(ChatGPT Businessなど)に限る。社員の個人アカウントには入れない
入れてよい情報取引先名・金額は可、口座番号・マイナンバー・社員の給与や健康情報は不可、のように具体的に線を引く
最終確認する人AIが作った仕訳・請求書・回答は、必ず担当者が確認してから確定・送付する

個人アカウントで業務に使うリスクと切り替え方は「ChatGPTの法人と個人の違い|個人アカウントの業務利用のリスク3つ」、入れてよい情報の決め方は「生成AIの社内ルール(ガイドライン)の作り方」で解説しています。


経理・総務で始める4ステップ

ステップやること目安
1. 書き出す経理担当者に、支払い・売上・月末の3本の流れを四角と矢印で書いてもらう1時間
2. 選ぶ各作業に「月の回数×1回の時間」を書き、一番大きいものを1つ選ぶ30分
3. 分ける選んだ作業が「1回ずつ考える作業」ならチャットで試す。「毎月同じ形でくり返す作業」なら自動化に回す1日
4. 仕組みにする使っている会計ソフトとツールの系統に合わせて、ワークフロー自動化・AIエージェント・自社ツールのどれかで組み、8〜9割の自動化で回し始める1〜2か月

ChatGPTの経理での活用についてよくある質問

ChatGPTに仕訳や勘定科目の判断を任せても大丈夫ですか?

下書きと候補出しまでは任せられますが、確定は人が行ってください。AIの判断は間違うことがあり、会社ごとの処理ルールも知りません。自社の過去の仕訳ルールをAIに渡し、迷うものだけ担当者や顧問税理士が判断する形にすると、精度と手間のバランスが取れます。

取引先名や請求金額をChatGPTに入れてもいいですか?

会社が契約した法人向けのアカウントで、社内ルールで入れてよいと決めた範囲なら入れてかまいません。ChatGPT Businessは初期設定で業務データを学習に使わない設定になっています。口座番号やマイナンバー、社員の給与などは入れない範囲に入れておくのが安全です。

経理担当が1人しかいない会社でもできますか?

むしろ1人の会社ほど効果があります。その人が休むと請求や支払いが止まる状態は、会社にとって大きなリスクです。流れを四角と矢印で書き出すだけでも、ほかの人が業務の中身を分かるようになり、自動化した部分はその人がいなくても回ります。


まとめ:経理のChatGPT活用は「チャット」と「仕組み」を分ける

経理・総務でChatGPTのチャットが役に立つのは、通知文やExcelの式づくりなど1回ずつ考える作業です。月末の時間を奪っている請求書の作成・受け取り、仕訳入力、入金確認は毎月くり返す作業なので、ワークフロー自動化や会計ソフトとつないだAIエージェントで仕組みにしてください。まずは経理の1か月を四角と矢印で書き出すところから始めると、どこから手をつけるかが見えてきます。

「経理にChatGPTを配ったが、月末の作業は何も変わっていない」「請求書や仕訳の入力を減らしたいが、自社の会計ソフトで何ができるか分からない」という状況なら、経理の業務の書き出しから一緒に進められます。

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