結論:経営者・管理職向けのAI研修は、ツールの細かい操作を覚える場ではなく、①自分で一度AIを使って「何ができるか」を体感し、②自社のどの業務にAIを入れるかを決め、③社内ルールと「AIを使って仕事をする」という方針を社員に示せるようになるための研修です。ホリエモンAI学校の研修現場では、研修後も社員がAIを使い続ける会社と使わなくなる会社の違いは、社長が「AIを使え」とはっきり指示しているかどうかに表れており、経営者と管理職が先に学ぶことが社員研修を無駄にしない一番の近道です。
「社員にAI研修を受けさせたいが、自分自身がAIをよく分かっていない」「管理職がAIに否定的で、部下が使いにくい雰囲気がある」という相談は、中小企業の社長からよく受けます。社員向けの研修だけを先に進めると、職場に戻ったときに上司が使い方を判断できず、せっかくの研修が止まってしまいます。
この記事では、経営者・管理職がAI研修で学ぶべきこと、社員向け研修との違い、よくある失敗、進め方の5ステップ、費用と助成金の注意点を解説します。法人向けAI研修を提供し、受講企業400社・受講者4,000人を超えるホリエモンAI学校(自社公開データ)の研修現場で見てきたことも、具体例として紹介します。
経営者・管理職にAI研修が必要な理由
経営者や管理職がAI研修を受ける目的は、自分が作業を速くすることだけではありません。「どの仕事をAIに任せるか」「AIを使ってよい範囲はどこまでか」を決めるのは、経営者と管理職の役割だからです。この判断ができないと、次のようなことが起こります。
- 社員がAIを使ってよいのか分からず、結局だれも使わない
- 逆に、ルールが無いまま個人のアカウントで顧客情報を入力してしまう社員が出る
- 部下がAIで作った資料を、上司がどう確かめて評価すればよいか分からない
- AIで解決できる業務に、高い外注費やシステム費を払い続けてしまう
ホリエモンAI学校の研修現場では、研修が終わって1〜2か月後もAIを使い続けている会社と、使わなくなった会社の違いは、社長が「AIを使って仕事をしろ」と命令しているかどうかだと、代表の荒木は見ています。社員がどれだけ良い研修を受けても、トップの方針が無ければ「忙しいから今までのやり方で」に戻ってしまいます。だからこそ、方針を出す側の経営者と、現場でそれを実行させる管理職が、AIで何ができるかを自分の目で知っておく必要があります。
経営者・管理職がAI研修で学ぶべき5つのこと
経営者・管理職向けの研修では、操作を細かく覚えるより、判断に必要な知識を優先します。最低限、次の5つを押さえておくと、社員研修の方向づけと社内展開ができるようになります。
1. 自分で一度使って、AIの得意・不得意を体感する
まずは会社が使うChat型AI(ChatGPT・Gemini・Copilot Chat・Claudeなど)を、自分の仕事で実際に使ってみます。メールの下書き、会議メモの要約、取引先の情報の整理など、普段の仕事を題材にするのが近道です。自分で使ったことが無い経営者が「AIを使え」と言っても、社員には響きません。うまくいく場面と、もっともらしい間違いを出す場面の両方を体感しておくと、社員の使い方を判断しやすくなります。
2. 今のAIで「どこまで自動化できるか」の全体像を知る
AIの活用は、Chat型AIで文章を作る段階から、メールやチャットをつなぐワークフロー自動化(Zapier、Power Automateなど)、仕事そのものを任せたり道具を作ったりするAIエージェント(Claude Codeなど)まで広がっています。経営者がこの全体像を知らないと、投資の判断を誤ります。
たとえばホリエモンAI学校の研修現場では、エンジニアではない受講者が、Claude Codeを使って営業管理システム(Salesforceのような顧客・商談の管理ツール)の代わりになる仕組みを、約1週間で作った例がありました。もちろんすべての会社で同じことができるわけではありませんが、「これは高いシステムを買うしかない」と思っていた業務が、社内で作れる可能性がある、という視点を持つだけでも、IT投資の見え方が変わります。
3. 社内ルールとリスクを決められるようになる
入力してよい情報(顧客の個人情報、社外秘の数字、取引先から預かった資料など)の線引き、会社として契約するアカウントと個人アカウントの扱い、AIが作った文章や資料を社外に出す前の確認の仕方などを、経営者・管理職が理解して決めます。ルールは「禁止事項の一覧」だけにせず、「これは使ってよい」という具体例もセットで示すと、社員が迷わずに使い始められます。
4. 自社の業務から「AIに任せる仕事」を選ぶ
ホリエモンAI学校の法人プランでは、受講4か月目以降に「困りごとリスト」を作り、誰が何に困っているかを書き出して、それを1つずつAIで解決していきます(法人プランページ掲載の進め方)。この困りごとを集めて優先順位をつけるのは、現場を知る管理職と、最終的に判断する経営者の仕事です。時間がかかっている作業、ミスが起きやすい作業、特定の人しかできない作業から選ぶと、効果が見えやすくなります。
5. 社員に方針を伝え、使い続ける仕組みを作る
最後に、「当社はAIを使って仕事をする」という方針を経営者の言葉で伝え、管理職がそれを現場で実行させます。会議の議事録はAIで作る、日報の下書きはAIで作る、というように、具体的な業務を指定して「やる」と決めるほうが、「積極的に使いましょう」という呼びかけよりも定着します。
経営者・管理職・一般社員でAI研修の中身はどう違うか
同じ会社のAI研修でも、立場によって学ぶ目的が違います。全員に同じ内容を受けさせるのではなく、役割ごとに重点を変えると、短い時間で成果につながります。
| 比べる点 | 経営者 | 管理職 | 一般社員 |
|---|---|---|---|
| 研修の目的 | AI活用の方針と投資を決める | 現場で使わせ、業務の流れを変える | 自分の業務をAIで速く・楽にする |
| 特に学ぶこと | AIで何ができるかの全体像、リスクと社内ルール、方針の出し方 | 部下の使い方の確かめ方、困りごとの集め方、業務フローの見直し | ツールの操作、自分の業務への当てはめ方、自動化の作り方 |
| 操作の深さ | 自分で一度使える程度 | 部下に教えられる程度 | 毎日の業務で使いこなす |
| 研修後にやること | 「AIを使う」方針と対象業務を社内に示す | 部下と一緒に困りごとを1つずつ解決する | 困りごとをAIで解決し、成果を共有する |
一般社員の研修内容の詳しい順番は、別の記事で解説しています。
📌詳しくは「【2026年最新】生成AI研修の内容とは?何をどの順で学ぶか|5段階のカリキュラム例と自社に合わせる方法」へ
経営者・管理職向けAI研修でよくある3つの失敗
失敗1:社員だけに受けさせ、経営者は受けない
「AIは若い人のほうが得意だから」と、社員だけに研修を受けさせるケースです。社員は使い方を覚えても、上司や社長が何ができるかを知らないため、「その使い方は本当に大丈夫なのか」と止められたり、AIで作った成果が評価されなかったりします。社員研修の前か、少なくとも同時に、経営者自身が受けるのが基本です。
失敗2:管理職がAIに否定的なまま現場に戻す
管理職が「AIなんか使わずに自分で考えろ」と言えば、部下はそれに従います。新入社員や若手ほど上司の言葉に左右されます。管理職には、AIを使うと仕事の質が下がるのではないかという心配もあるため、研修では「AIの答えを確かめて直す」使い方を一緒に学び、部下の成果物をどう確認すればよいかまで話しておきます。
失敗3:一度の講演・セミナーで終わる
経営者向けの研修は、半日の講演やセミナーで「AIはすごい」と分かって終わりになりがちです。分かっただけでは、社内は何も変わりません。講演のあとに、自社の対象業務を決める、ルールを作る、社員の研修を始める、という次の行動まで決めておくことが大切です。ホリエモンAI学校の法人プランでは、毎月1回30分の面談を用意しており、ご担当者さまだけの参加も可能です(法人プランページ掲載)。経営者や管理職が、この場で翌月に何をするかを決めていく使い方もできます。
経営者・管理職向けAI研修の進め方5ステップ
- 経営者がまず自分で使ってみる:会社が使う予定のChat型AIを1つ選び、1〜2週間、自分の仕事で毎日使います。
- 管理職と一緒に研修を受ける:AIで何ができるかの全体像と、社内ルールの考え方を、経営者と管理職で同じ場で学びます。立場が違っても同じ前提を持てるようにするためです。
- 社内ルールと対象業務を決める:入力してよい情報の線引きを文書にし、最初にAIを使う業務を2〜3個決めます。
- 経営者から方針を伝え、社員研修を始める:「当社はAIを使って仕事をする」という方針と、対象業務、ルールをセットで伝えてから、社員研修を始めます。
- 管理職が困りごとを集め、毎月振り返る:部下の困りごとを集めてAIで解決し、毎月どれだけ進んだかを経営者に報告する場を作ります。
研修会社を選ぶときは、経営者・管理職と一般社員で内容を分けられるか、研修後の業務改善まで伴走してくれるかを確かめておくと安心です。
経営者・管理職向けAI研修の費用と助成金の注意点
費用の一例として、ホリエモンAI学校の法人プランは2名から利用でき、年間利用料は1人31万円(税抜)です(法人プランページ掲載)。講義の見放題に加えて、月2回のオンライン定例会、企業ごとのチャットグループ、毎月の面談が含まれます。定例会では、業務改善やツールの使い方だけでなく、AI全般の知識を扱っており、経営者がAIの動きを追い続ける場としても使えます。
助成金については注意が必要です。厚生労働省の人材開発支援助成金は、雇用保険に加入している従業員を対象とする制度で、社長や取締役などの役員は対象外です(法人プランページにも記載)。一方で、雇用保険に加入している管理職は、一般社員と同じく対象になり得ます。つまり、経営者の受講料は助成金を使わずに自社で負担し、管理職と社員の受講分に助成金を使う、という組み立てになります。
また、訓練開始の1か月前までに、職業訓練実施計画届を労働局へ提出する必要があり、契約後の申請は対象外です。経営者が先に受けて方向性を決め、そのあと管理職・社員の研修を始める場合は、社員側の研修開始日から逆算して計画届の準備を進めてください。条件や支給額は審査で決まるため、ここで紹介したことが必ず当てはまるわけではありません。
経営者・管理職向けAI研修に関するよくある質問
経営者がAI研修を受けるなら、どこまで操作を覚えればいいですか?
自分の仕事で一度使えて、AIの得意・不得意を説明できる程度で十分です。細かい操作を覚えるより、どの業務にAIを入れるか、どこまで使ってよいかを判断できることのほうが大切です。自動化の作り方まで身につけたい場合は、社員と一緒に受講すると効率的です。
社長はAI研修の助成金の対象になりますか?
人材開発支援助成金は、雇用保険に加入している従業員を対象とする制度のため、社長や取締役などの役員は対象外です。雇用保険に加入している管理職や社員は対象になり得ますが、条件や支給額は審査で決まるため、事前に社労士や研修会社に確認してください。
管理職がAIに否定的な場合、どうすればいいですか?
まず経営者が「AIを使って仕事をする」という方針を示し、管理職にも研修を受けてもらうのが近道です。管理職の心配は「仕事の質が下がる」「部下の力が育たない」というものが多いため、AIの答えを確かめて直す使い方と、成果物の確認の仕方を一緒に学ぶと、受け入れられやすくなります。
まとめ:経営者・管理職向けAI研修は「判断」と「方針」のために受ける
経営者・管理職向けのAI研修は、ツールの操作を覚えるためではなく、AIで何ができるかを体感し、自社のどの業務にAIを入れるか、どこまで使ってよいかを決め、「AIを使って仕事をする」という方針を社員に示すために受けるものです。社員研修だけを先に進めるより、経営者と管理職が先に学ぶほうが、研修後に社員がAIを使い続ける会社になれます。助成金は役員が対象外である点と、計画届の提出時期に注意してください。
「社員にAIを使わせたいが、まず自分が何をどう判断すればいいか分からない」「AIを導入したいが、自社ではどこから手をつければいいか分からない」という場合は、無料相談で現状をお聞かせください。自社で十分できる内容であれば、その進め方もお伝えします。