社会福祉法人さわらび会は、徳島県と東京都で特別養護老人ホームなどの施設運営と通所介護・在宅介護サービスを提供しています。介護業界は人手不足や業務負担の増大が深刻な課題となっていますが、「介護は人がやる仕事」というイメージが根強く、AIなどを活用した業務効率化が進んでいない現場も多くあります。同法人がそうした”介護業界の常識”をいかに乗り越え、AIの活用に取り組んでいるのか。そして、『ホリエモンAI学校』はその挑戦にどう伴走したのか。今回は、同法人課長の勝山高亘様、広報担当副主任の林香織様に、お話を伺いました。業務の効率化に取り組むも、AIの活用方法は「全くわからない」──はじめに、貴法人の事業内容と、お二人の役割について教えてください。勝山様:社会福祉法人さわらび会は、徳島県の『特別養護老人ホームかもな園』からスタートした法人で、徳島と東京で介護保険事業を展開しています。私は課長として、採用や労務など、法人全体の管理業務を担当しています。林様:私は今年の4月からデイサービスセンターと兼務で、法人初の広報担当になりました。今はSNSの運用やホームページの更新なども行っています。──今回『ホリエモンAI学校』を受講されたきっかけは何だったのでしょうか。AI活用の必要性を感じるような、具体的な課題があったのですか?勝山様:もともとAIを業務で大々的に使っていたわけではなく、私を含め、文書作成やメール返信に使う程度でした。ただ、うちの理事長が「福祉業界もどんどん新しい技術を取り入れて、業務の負担を軽くしていくべきだ」という考え方を持っており、法人として積極的に設備投資を行っていました。私も業務効率化を進めようとしていた時に、『ホリエモンAI学校』さんから営業の電話がかかってきたのが最初のきっかけです。──営業電話がきっかけとのことですが、受講の決め手はどのような点でしたか?勝山様:営業の方から「エンジニアのような知識がない初心者でも、基礎から学べる」と聞き、それなら自分たちでもできるのではないかと感じたことが、大きな理由です。私自身、AIが業務効率化に活用できるのではないかと、興味を持っていました。でも、活用の仕方が全くわからず、なんとなく難しそうだというイメージを漠然と抱いていたんです。でも営業さんの言葉で、関心度が一気に高まりました。また、助成金が使えるのでそれほど大きな費用の負担なく受講できる点も後押しでした。これを機に、業務に活かす方法を体系的に学べるのではと期待が膨らんだのを覚えています。伴走サポートが学習の壁を取り払い、「どんどん学びたくなる」──勝山様からAI学習のお話を聞いた時、林様はどのように感じましたか?林様: AIを学ぶことができる、しかも『ホリエモン』の名前がついた学校と知って、「めっちゃおもろそうやん!私も入れてください!」とすぐにお願いしました(笑)。介護の世界はいまだにFAXを使っていたり、全てを紙でプリントアウトしたり、新しい技術に疎い面があると以前から感じていました。もっと簡単にできないのかと思うことも多かったので、AIを学ぶことで効率化ができれば、と思ったんです。──参加者はどのように集められたのですか?勝山様: 役職者の会議で「こういう研修を受講したい」と希望者を募ったところ、私を含めて10名が集まりました。林さんのように「是非やってみたい!」という人から、AIに対して「本当にできるかな?」と心配しながらもとりあえずやってみようと参加した人まで、さまざまです。温度差はありながらも、みんな挑戦しようという気持ちだったのではないかと思います。──学習を始めた当初、難しさを感じることはありましたか?林様: 最初のうちは、解説動画に出てくる専門用語がわからないなど、戸惑うこともありました。そうした時に助けられたのが、月1回の『ホリエモンAI学校』担当者との定例会です。15分のオンライン面談なのですが、細かな質問にも丁寧に答えてくれて、サポートが本当に手厚いんです。「用語がわからなければ、AIに聞いてみるといいですよ」と教えてもらって。「そうか、そこからAIを使えばいいんだ」と気づき、学習のハードルが一気に下がりました。──初心者でもどんどん使えるサポート体制が、AIに対する苦手意識を払拭したんですね。勝山様: そうですね、加えて、定例会が私たちのモチベーションアップにものすごくつながっています。困っていることを解決に導いてくれるだけではなく、新しいツールなども紹介してくれるので、定例会のたびに「早く使ってみたい!」という気持ちになるんです。林様: 初めての定例会のあと、担当者の方がイラスト一枚にまとめた議事録を瞬時に送ってくれたときは、衝撃を受けました。思わず「やばい!すごい!」と声が出ていましたね。あの内容がこんなにわかりやすく、しかもこんなに早く作れるのかと。それもAIで作ったと聞き、AIがいかに便利なものかを実感しました。定例会以外にも、チャットでわからないことがあればいつでも質問でき、すぐに回答してくれます。自分たちで動画を見るだけではないサポートが、どんどん学びたくなる理由だと感じています。200ページの紙資料が7分の動画に。AIが示した”事業を線で繋ぐ”視点──受講から3ヶ月ほどと伺いましたが、すでに業務にAIを取り入れた部分ははありますか?勝山様: 毎年行われている理事会で、私は事務局として次年度の事業報告を説明する役割を担っているのですが、この準備にAIを活用しました。これまでは、各部門から上がってきたExcelの計画書を元に、200ページにもなる紙の資料を役員の人数分印刷し、ホチキスで留め、私が口頭で説明していたんです。それを今回、元のエクセルをAIに読み込ませた上で動画を作り、さらに、NotebookLMを使って、計画の要点をまとめたA4一枚の図解資料も作成しました。質の高い解説動画やイラストがあっという間にアウトプットされ、準備の時間が大幅に短縮できました。──AIを使ったことで、報告の内容や精度などに変化はありましたか。勝山様:大きな変化がありました。具体的には、最初に考えていた流れを分析させて、「マイナス要素もあげてほしい」と指示をしました。すると、「書いている内容は良いが、それぞれが点になっていて、線でつながってない」という指摘がAIからあったんです。例えばある事業所の「残食を減らす」という厨房の取り組みは、法人全体の目標である「SDGsへの貢献」の一つではないか、といった指摘です。AIの動画では、これら回答を踏まえて、個々の取り組みを法人全体の目標の中に位置づけ、それぞれを紐づけながらわかりやすく解説しました。こうすることで、見る方もわかりやすかったのではないかと思います。──実際に理事会で動画を流して、役員の方たちの反応はいかがでしたか?勝山様: 正直、AIに批判的な方もいるだろうと少し不安だったのですが、動画が終わった瞬間、一番年長の役員の方が率先して拍手をしてくださったんです。「数字をずらずら口頭で報告されるより、こっちの方が断然わかりやすい。次から全部これにしてくれ」と。これは本当に嬉しかったですね。──林様は、日々の業務の中でどのような変化を感じていますか?林様: 私はまだ大きな成果はまだありませんが、AIのおかげで仕事がものすごく面白くなりました。これまで業者に頼むしかないと思っていた、ホームページの修正を自分でできるようになったり、SNSの投稿ネタをChatGPTと考えたりしています。また、名刺やチラシも、AIアシストのあるCanvaを使えば、時間がない時でも驚くほど簡単に作れるんです。毎日ChatGPTやNotebookLMを開くのが習慣になり、まるで業務が”AIと楽しく遊んでいる”感覚になっています。それが自然と成果につながっていて、AIを使いたくて仕方がない、仕事が面白い、と感じるようになりました。──楽しんで取り組まれているのが伝わってきますね。勝山様: 今では林が法人の”AI駆け込み寺”のような存在になっていて、わからないことがあればみんな彼女に聞きに行くようになりました。私たちが楽しく取り組んでいるので、みんなのAIに対する意識も少しずつ変化し、「自分もやってみたい」と感じる人が増えてきたように思います。受講して感じた、介護の仕事だからこそAIを活用する価値──今後、AIをどのように活用していきたいと考えていますか。勝山様:今年度、当法人では労働時間の削減を目標に掲げています。介護の世界は、人手不足や職員の業務負担が大きいことが課題となっていますが、こうした負担の解消を実現するには、業務の効率化が不可欠です。今後は、『ホリエモンAI学校』を受講した10名が中心となって、AIの活用を法人全体に広げていき、利用者皆さんへのサービスの質を保ちながら、職員の負担を軽くできればと思っています。──最後に、お二人と同じく介護の仕事に携わる方々へのメッセージをお願いします。林様: AIを活用するということは、私たち自身の仕事の手間を軽くするだけではなく、利用者の皆さんに費やす時間が増えることにもつながります。AIによって、本当に私たちがやりたい仕事に集中でき、利用者さんと向き合う環境が作れるんだという考えが、もっと業界全体に広がると嬉しいです。私自身、『ホリエモンAI学校』を受講し、仕事の楽しさを感じるようになりました。この経験をどんどん発信していくことで、介護の仕事の新しい魅力を伝えていきたいと思っています。勝山様:先日、県内にある高専の学生さんが施設の見学に来ました。彼らが目指しているのは、利用者さんの体や顔の状況から、体調を崩している可能性をいち早く察知するという、AIグラスの開発です。ベテラン職員は利用者さんの変化に気が付くことができますが、経験が浅い職員は見落としてしまうかもしれない……その差をAIによって埋めようというものです。それを聞いたとき、業務効率化に留まらない、介護の世界におけるいろいろなAIの可能性を感じました。もしかしたら、「介護は人がやること。AIは冷たい」というイメージがあるかもしれません。しかし活用が広がれば、AIは介護の質を高めるパートナーにもなるはずです。私たち自身も『ホリエモンAI学校』で得た学びを生かしながら、法人全体のAIに対する意識改革を進めて、より良いサービスを提供できるようにしていきたいと思っています。